P4 国立国会図書館蔵
(読み)
本うセんじ可ご尓うち
ほうせんじかごにうち
のセい川゛くともなくともない由くこ楚ふしぎ
のせいず くともなくともないゆくこそふしぎ
なる
なる
うれしヤ\/ やうやく若
うれしやうれしやようやくわか
多ん奈をさ可゛し
だんなをさが し
多゛し多楚
だ したぞ
う川ちや川て
うっちゃって
おけ春ゝ者き二
おけすすはきに
出よふとい川多
でようといった
ハこのこつ多
はこのこった
あろう
あろう
金 兵衛お毛いも
きんべえおもいも
よらざること
よらざること
いとふしん二お
いとふしんにお
毛ひ个れとも
もいけれども
古れさい王い
これさいわい
ふくとくの三
ふくとくのさん
袮ん目あい
ねんめあい
多口 へ毛ち
たくちへもち
天 へもあ可る
てんへもあがる
古ゝちして則
ここちしてすなわち
可ご尓うち
かごにうち
のりていづ
のりていず
くをあて毛
くをあても
なく出 由き
なくいでゆき
个る
ける
(大意)
宝泉寺駕籠に押し込め乗せられて、どこかへと運ばれてゆくのが不思議
なことであった。
「うれしやうれしや、ようやく若旦那をさがしだしたぞ」
「うっちゃっておけ。煤掃きのときに見つかるといったのは、
このこったろう」
金兵衛は思いもよらないことで、ひどく疑わしく勘ぐったのだけれど
これ幸いと、福徳の三年目、あいた口へ餅、天へものぼる心地がして、すぐに
駕籠にとびのって、どこかへとあてもなく出発したのだった。
(補足)
この部分、かすれがあって、他の資料を参考に読みました。
「春ゝ者き二出よふ」、年末の大掃除のときには見つかるだろう。
「ふくとくの三袮ん目」、『福徳の三年目〔福徳の御利益は三年目にめぐってくるということから〕意外な幸運に出合うこと』
駕籠の右後ろ、白無地の着物の方、鼠の嫁入りの白ねずみのように見えます。顔は右向きになって、耳は人の耳ではなくネズミの耳に見えませんか。遊び心で描き入れたのかもしれません。