P30P31 国立国会図書館蔵
P30
(読み)
さてもつりふ年ふうふ奈んぎの
さてもつりふねふうふねんぎの
ところへうら志ま太郎 こいを
ところへうらしまたろうこいを
どう\/してあら王れ出 可の
どうどうしてあらわれいでかの
こともと奈りし平 次尓
こどもとなりしへいじに
多満手者このふ多を
たまてばこのふたを
あけさせ个れハあい可ハら須゛
あけさせけれはあいかわらず
としの
としの
よる玉 手者この
よるたまてばこの
ゐとく尓て
いとくにて
て うどいゝ
ちょうどいい
可希゛んの
かげ んの
男 ざ可り
おとこざかり
かん平 どの尓
かんぺいどのに
奈る可奈ら須゛と
なるかならず と
いふとし
いうとし
可川こう尓
かっこうに
奈り个れハ
なりければ
(大意)
さて、釣船の平次夫婦がいろいろと面倒なことになっているとき、
浦島太郎が鯉といっしょにあらわれ出た。あの子どもになってしまった
平次に玉手箱のふたを開けさせると、いつになっても古びている玉手箱の
威徳のある力のおかげで、ちょうどよい年格好の(早野)勘平に似ているとも似ていないともみえる男盛りになっていた。
(補足)
早野勘平は仮名手本忠臣蔵で31歳で亡くなっている。
「可希゛んの」、変体仮名「希」(け)と読みましたが、この変体仮名はあまりみません。
浦島太郎が玉手箱を持ってあらわれ、それを幼子になった平次に開けさせるとは、なんとも奇抜なはなしの展開、おもしろい。平次の衣装のなりで今度は顔もツヤツヤの男盛りに若返っています。
平次の右肩には「平」、左の腰蓑をつけた浦島の右袖に「浦」、その隣には頭にでっかい鯉をのせた美人、帯柄は青海波。浦島の袖や裾のところの柄は浪となっていて、凝ってますねぇ。
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