P29 国立国会図書館蔵
(読み)
平 二ハまんとし多可年
へいじはまんとしたかね
もちと奈り此 うへの
もちとなりこのうえの
よく尓ハどいの二 郎尓
よくにはどいのじろうに
あら年どもとし二十
あらねどもとしはたち
多゛尓王可くんハおもしろ
だ にわかくんばおもしろ
多ぬきとてまへもの
たぬきとてまえもの
奈れバま可奈すき可゛奈
なればまがなすきが な
女 本うを奈め个る可゛
にょうぼうをなめけるが
奈めれバ奈める本ど
なめればなめるほど
王可く奈る可゛
わかくなるが
おもしろさ
おもしろさ
尓王れを
にわれを
王すれて
わすれて
あんまり奈め
あんまりなめ
すぎつい尓七 ツ
すぎついにななつ
者゛可りのこぞうと奈り
ば かりのこぞうとなり
(大意)
平次はとんでもない金持ちとなり、
この上の欲は、土肥二郎ではないが、
歳がもう二十歳だけでも若ければよいのだがと、
自分の女房だからと、少しでも暇があるといつも
女房を嘗め続けた。嘗めれば嘗めるほど若くなるのが
面白く、我を忘れてあんまり嘗めすぎて、
ついに七つばかりの小僧となってしまった。
(補足)
「土肥二郎」、源頼朝の家臣、土肥次郎実平(どひのじろうさねひら)。芝居などでは老人として登場するが、もっと若ければ、合戦で活躍できたろうとされる人物。
「此うへの」、「う」がわかりずらい。
「二十多゛尓王可くんハ」、何度か音読して納得。
「多ぬきとてまへもの奈れバ」、どこで区切るか悩む。「多ぬきとて/まへもの奈れバ」「多ぬきと/てまへもの奈れバ」。
「ま可奈すき可゛奈」、間がな隙がな。しばらくわかりませんでした。
女房の脇には行灯があります。夜となく昼となく嘗め続けたことを暗示するとものの本にはありました。なるほどね。
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