2023年7月10日月曜日

箱入娘面屋人魚 その38

P20P21 国立国会図書館蔵

P20

(読み)

〽アレ可゛つき多゛し多゛そふ奈

 あれが つきだ しだ そうな


奈る本ど可本ハうつくしひ可゛

なるほどかおはうつくしいが


道 中  可゛へん多゛ぜのふ

どうちゅうが へんだ ぜのう


谷我子(こく可゛し)

    こくが し


〽江戸や尓多し可

 えどやにたしか


甚 五郎 さん可゛

じんごろうさんが


ゐさし川多よ

いさしったよ

(大意)

「あれが突き出しだそうな。なるほど顔は美しいが

道中が変だぜ。のぅ谷我子。」

「江戸屋にたしか、甚五郎さんがいらっしゃいましたよ」

(補足)

「谷我子」、梅暮里谷我、洒落本作者。上総久留里藩江戸詰武士で本所梅堀の藩邸に住んでいたので梅暮里と号した。茶屋の縁台から道中を見ている山東京伝の右側にいる。

「甚五郎」、江戸屋は吉原江戸町二丁目の引手茶屋、江戸屋甚五郎(ねもと屋嘉平次の隣の茶屋)のことであろうとものの本にはありました。

 谷我子の半分は簾(すだれ)に隠れています。よくみると谷我子がそのすだれをすけて見えています。ちゃんと仕事をしているのですね。

 禿はまだ子どもなので、裾捌きが乱れて道中もまだまだの様子です。

 

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