P18P19 国立国会図書館蔵
P18
P19
(読み)
P18
〽本うこう人 尓ハき可
ほうこうにんにはきか
佐連袮へ可゛奈んと
されねえが なんと
マア人 魚 をいつひき
まあにんぎょをいっぴき
七 両 二分とハや春ひ
しちりょうにぶとはやすい
志゛やア袮へ可か川本
じ ゃあねえかかつお
でもお本への
でもおぼえの
あるこ川多
あるこった
〽こい川をまへ江
こいつをまえへ
あてさせるの多゛
あてさせるのだ
可ミハ志のぶゟ
かみはしのぶより
よこひやうご可
よこひょうごが
せい可゛多可く
せいが たかく
ミへていゝ
みえていい
〽ゐ志やうのぬいハ
いしょうのぬいは
田まちのき う林(りん)尓
たまちのきゅう りん に
多のん多゛可ら
たのんだ から
志゛よ
じ ょ
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さひハあるめへ
さいはあるめえ
(大意)
「奉公人には聞かされたくねえが、
なんとまぁ、人魚を一匹、七両二分とは安いじゃねえか。
鰹でもそんなこたぁあらぁ」
「こいつを前へあてさせるのだ。
髪はしのぶ髷(まげ)より横兵庫が
背が高く見えていい」
「衣装の縫いは田町の旧林に頼んだから間違いはあるめぇ」
(補足)
「き可佐連袮へ可゛」、「佐」が「御」にみえます。
「まへ江」、「江」は「に」にもみえますが、どちらでも意味は通じる。
「可ミハ志のぶゟ」、変体仮名「可」と「う」はそっくりというか同じ形。「ゟ」は「より」の合字。
「横兵庫髷」、女髪結いが結っている人魚の笄(こうがい)が何本も横に張り出している髪型。
「旧林」、浅草田町に住んでいた縫箔屋(ぬいはくや)のかたばみや久兵衛の号。旧林斎とも。山東京伝が寛政十二(1800)年の冬、吉原弥八玉屋の遊女玉の井を金二十余両で身請けして後妻に迎えたときの媒酌人であったと、ものの本にはありました。
この頁の見開きはとてもにぎやかで細やかでもあります。鏡台の側面が蒔絵にでもなっているのか花のような柄になっているようにみえます。また大きな囲炉裏もきってあり、奥には客商売だからでしょうか大きい立派な神棚もしつらえてあって、なんかチグハグな感じの部屋です。鏡台の鏡の裏までとても丁寧に造作を描いています。髪結いの中腰の姿勢も動きを感じますし、後帯の下がりもきれい。神棚の前に箱があってその上に大福帳みたいなものがのっています。
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