P24P25 国立国会図書館蔵
P24
(読み)
こゝ尓つり
ここにつり
ふ年の
ふねの
平 ニ可゛
へいじが
きんじよ尓
きんじょに
一 人の
ひとりの
者くぶつ
はくぶつ
あり个る可゛
ありけるが
平二可
へいじが
人 魚 を
にんぎょを
女 本う尓して
にょうぼうにして
もち尓つくときゝ
もちにつくときき
可れ尓志めしてい王く
からにしめしていわく
夫本艸(それ本んざう)尓人魚(尓んぎよ)と称(せ う)
それほんぞう に いんぎょ と しょう
ずる者(もの)ニ種(し由)あり曰
ずる もの に しゅ ありいわく
魚亭魚(ていぎよ)曰 魚児魚(じぎよ)又 異物誌(いぶつし)尓
ていぎょ いわく じぎょ また いぶつし に
人 の形(可多ち)尓似(尓)て長(奈可゛)さ尺(しやく)余(よ)
ひとの かたち に に て なが さ しゃく よ
頂(い多ゝき)乃うへ小穿(すこしきあ奈)ありとハ
いただき のうえ すこしきあな ありとは
志るせし可とかゝる本゛つ
しるせしがとかかるぼ っ
とりもの奈る事 を志ら須゛
とりものなることをしらず
ま多む可しよりいひ
またむかしよりいい
つ多ふる尓人 魚 を
つたうるににんぎょを
奈め多るものハ千歳 の
なめたるものはちとせの
志゛由ミやうを多も川といへハ
じ ゅみょうをたもつといえば
何 尓もせよ金 尓奈る志ろもの
なににもせよかねになるしろもの
しやとい王れて平 二大 尓よろこび
じゃといわれてへいじおおいによろこび
(大意)
ここに釣り船平次の近所に一人の博学者がいた。
平次が人魚を女房にして持て余していると聞き、
彼にこのようなこと言った。
「『本草』という書物に人魚と称するものは二種類あり。
ひとつは魚帝魚(ていぎょ)、ひとつは魚児魚(じぎょ)。
また『異物誌』には人の形に似て長さは一尺余り、頭のてっぺんには
小さな穴があると記してあるが、このように愛くるしい美人であるとは知らなかった。
また昔よりの言い伝えに、人魚を嘗めたものは千歳の寿命を保つとあるが、
いずれにせよ、金になる代物じゃ」。
これを聞き平次はおおいに喜び
(補足)
「もち尓つく」、辞書で調べてもありませんでした。文章の流れから意味はもてあますでありましょう。
安看板に「寿命薬 人魚御奈め(所)」とあります。
順番を待つ人々、当時は身分社会ですから、髪型・持ち物・喋る言葉・挙措動作・人との対応などでその身分をおしはかることができました。ここにもいろいろな方々がいらっしゃいます。
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