2023年7月26日水曜日

箱入娘面屋人魚 その54

P29 国立国会図書館蔵

(読み)

女  本うハ尓んぎよていし由ハ

にょうぼうはにんぎょていしゅは


子どもさりとハつまらぬ

こどもさりとはつまらぬ


事 と奈るあまり由き

こととなるあまりゆき


すぎるものを奈め

すぎるものをなめ


春ぎ多や川多゛と

すぎたやつだ と


いふも

いうも


こん奈

こんな


事 可ら

ことから


いひ

いい


出せし

だせし


奈るべし

なるべし


〽それミ奈せへし

 それみなせえし


あんまり奈め

あんまりなめ


すぎ奈者る可ら

すぎなはるから


そう多゛

そうだ


〽可ゝアヤこれ

 かかあやこれ


まあどうし多

まあどうした


もん多゛

もんだ


アゝちゝ可゛

ああちちが


のミ多く

のみたく


奈つ多

なった

(大意)

女房は人魚、亭主は子ども、こうなっては

目も当てられぬ事となった。

あまりにゆき過ぎるヤツのことを

嘗め(すぎ)たヤツだというのは

こんな事から言い出したのだろう。

(補足)

「つまらぬ事と奈る」、「る」は変体仮名「留」のかたちで、丸っこい。そして「る」のかたちになっているのが「事」のくずし字と変体仮名「奈」(な)。

「奈るべし」、こちらの「奈る」は同じく変体仮名「奈」が「る」のかたちで、次の「る」はほとんどかたちになっていません。

「可ゝアヤ」、いったん読めてしまえばなんでもないですけど、初見では??でした。

 平次が大人のなりで、そのまま子どもの顔つきになっているのが愉快ゆかい。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿