P28 国立国会図書館蔵
(読み)
可くてつりふ年の平 次ハすこしのうち尓女 ウ本゛うの
かくてつりぶねのへいじはすこしのうちににょうぼ うの
お可げ尓て大 可年を
おかげにておおがねを
もうけ今 ハ
もうけいまは
奈尓ふそく奈きミの
なにふそくなきみの
うへと
うえと
奈り个れハ
なりければ
きんじよの王可いてやい
きんじょのわかいてあい
これをうら山 しく思 ひ
これをうらやましくおもい
平 二可゛ぶ男 をミこミ?て
へいじが ぶおとこをみこみ て
人 を人 ツくさいとも
ひとをひとっくさいとも
思 ハ須゛人 魚 をうをツくさい
おもわず にんぎょをうおっくさい
とも思 ハぬや可ら平 二可゛
ともおもわぬやからへいじが
る春といふと志けこミ
るすというとしけこみ
いろ\/いやらしきせりふを
いろいろいやらしきせりふを
のべて者り个れとも人 魚 ハ貞魚(ていきよ)
のべてはりけれどもにんぎょは ていぎょ
多ゞしく中\/ せう ちせ須゛さ可奈多け
ただしくなかなかしょうちせず さかなだけ
おひれ尓て者年つ个る
おひれにてはねつける
(大意)
かくて釣船の平次は、少しのうちに
女房のおかげで、大金をもうけ
今は何不足のない身の上となった。
近所の若い手合はこれをうらやましくおもい
平次が醜男(ぶおとこ)であることをいいことに
人を人っ臭いともおもわず、人魚を人魚っ臭いとも
おもわぬ輩(やから)は、平次の留守をねらって家にしけこみ
いろいろいやらしいせりふを言ってものにしようとする。
しかし人魚はまさしく貞魚(貞淑)であり、これをなかなか承知せず、
魚だけに尾鰭ではねつける。
(補足)
「大可年を」、すぐには読めず次の「もうけ」でわかりました。
「平二可゛ぶ男をミこミ?て」、「て」の変体仮名は「天」や「帝」がありますけど、それらとはことなっています。「ミ」と「て」のあいだにもう一文字あるようにもみえますけど、わかりません。
横兵庫に結った人魚は気分良く一服。そのまわりには武家や町人、さかりの付いたオス猫どもが一匹のメス猫の周りにジッとうずくまっている有様であります。
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