2023年7月24日月曜日

箱入娘面屋人魚 その52

P28 国立国会図書館蔵

(読み)

〽人 魚 者可まひつけ須゛

 にんぎょはかまひつけず


つんとしている

つんとしている


〽しやうじん

 しょうじん


日尓ハ

びには


つきやハれ

つきやわれ


袮へよのふ

ねえよのう


〽あすあ多りハむさしやへでもいつて

 あすあたりはむさしやへでもいって


志や連るきハ奈し可へ

しゃれるきはなしかえ


志可しこのごしんぞも

しかしこのごしんぞも


む可ふしまでハ由多゛んの

むこうじまではゆだ んの


奈らねへ奈り多

ならねえなりだ

(大意)

人魚はそんな誘いにもおうじずツンとすましている。

(人魚曰く)「精進日にはお付き合いはできませんのよ」

「明日あたり、武蔵屋へでも行って洒落る気はねえかい。

しかし、このご新造も向島では油断のならねえなりをしてやがる」

(補足)

ローカルな内容で、ものの本にたよらないと理解できません。以下その本よりです。

向島には中田屋(葛西太郎)や武蔵屋権三郎といった鯉料理で有名な料理屋があって、人魚はまちがって料理されかねない。がこれは表向きのことで、江戸郊外向島の料理やなどは出会茶屋(大人の休憩所、ラブホテル)でもあったので、そこで嘗めてみたいというのが本音なのでした。

 

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