2023年7月9日日曜日

箱入娘面屋人魚 その37

P20P21 国立国会図書館蔵

P21

(読み)

〽くろご尓て

 くろごにて


うしろ可ら

うしろから


手をつ可ふ

てをつかう


〽人魚(尓んぎよ)ウ

    にんぎょ う


徒可いと

つかいと


いふ事 ハ

いうことは


此 と起よりぞ

このときよりぞ


者じまり个ると

はじまりけると


いふの可

いうのか


コレさくしや

これさくしゃ


そうハ

そうは


い王せぬ

いわせぬ


ふるひ

ふるい


\/

ふるい

(大意)

黒衣がうしろから手を使う。

「人魚う(人形)遣いはこのときよりはじまった」

なんていう洒落は、古すぎるので作者のわたしは言わないよ。


(補足)

「うしろ可ら」、「し」以外、どれもみなそっくりの形です。

黒衣をよくみると、左手は人魚の襟元から少し見えている鱗を隠すように襟をなおし、右手はとさがしてみると、花魁道中の華、花魁が外八文字で歩き乱れぬようにと褄(つま)をとっています。でも着物の裾からはでっかい尾鰭がのぞいています。

 人魚の左側にいるのは禿、右側には新造が伴をしています。一番うしろのぼぉーっとして手持ち無沙汰顔は若衆、いつもならば紋所の入った大きい提灯でまわりを明るくするのだけれど・・・

 

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