P21 国立国会図書館蔵
(読み)
まひつるやのていし由可゛思 ひつき
まいづるやのていしゅが おもいつき
きん袮んの者多き尓て
きんねんのはたきにて
志よ尓ち可らミそをつけ
しょにちからみそをつけ
まひつるやへハ者けもの可゛でる
まいづるやへはばけものが でる
と可奈んと可ひやうぎし个れハ
とかなんとかひょうぎしければ
人 魚 を一 日 もうち尓
にんぎょをいちにちもうちに
於可連須゛ざ川とめ尓ミへて
おかれず ざっとめにみえて
七 両 二分をそん尓して
しちりょうにぶをそんにして
人 ぬし平 ニをよび
ひとぬしへいじをよび
引 王多す
ひきわたす
(大意)
舞鶴屋の亭主の思いつきは
最初から失敗で
(突き出しの)初日からミソが付き
舞鶴屋には化け物がでる
とかなんとか噂になってはと
人魚を一日もうちに
置くことは出来ず、ざっとみつくろっても
七両二分の損はするのだが
人魚の主人である平次を呼び
引き渡しました。
(補足)
人魚は鱗におおわれているとはいへ、素っ裸です。舞鶴屋の伝三は欅づくりのような贅沢な火鉢に着慣れた着物。対する平次は縦縞模様の質素なもののようにみえます。
「思ひつき」、「思」がずいぶんとくずされていますが、まぁなんとか読めそうです。
「人魚」、「魚」が「争」にみえます。
「於可連須゛」、変体仮名が続きます。
「七両二分」、「分」のくずし字は「ミ」+「丶」。
「そん尓して」、「し」が線対称のようになってますけど、こんなのもあるのでした。
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