2023年7月13日木曜日

箱入娘面屋人魚 その41

P21 国立国会図書館蔵

(読み)

まひつるやのていし由可゛思 ひつき

まいづるやのていしゅが おもいつき


きん袮んの者多き尓て

きんねんのはたきにて


志よ尓ち可らミそをつけ

しょにちからみそをつけ


まひつるやへハ者けもの可゛でる

まいづるやへはばけものが でる


と可奈んと可ひやうぎし个れハ

とかなんとかひょうぎしければ


人 魚 を一 日 もうち尓

にんぎょをいちにちもうちに


於可連須゛ざ川とめ尓ミへて

おかれず ざっとめにみえて


七 両  二分をそん尓して

しちりょうにぶをそんにして


人 ぬし平 ニをよび

ひとぬしへいじをよび


引 王多す

ひきわたす

(大意)

舞鶴屋の亭主の思いつきは

最初から失敗で

(突き出しの)初日からミソが付き

舞鶴屋には化け物がでる

とかなんとか噂になってはと

人魚を一日もうちに

置くことは出来ず、ざっとみつくろっても

七両二分の損はするのだが

人魚の主人である平次を呼び

引き渡しました。

(補足)

 人魚は鱗におおわれているとはいへ、素っ裸です。舞鶴屋の伝三は欅づくりのような贅沢な火鉢に着慣れた着物。対する平次は縦縞模様の質素なもののようにみえます。

「思ひつき」、「思」がずいぶんとくずされていますが、まぁなんとか読めそうです。

「人魚」、「魚」が「争」にみえます。

「於可連須゛」、変体仮名が続きます。

「七両二分」、「分」のくずし字は「ミ」+「丶」。

「そん尓して」、「し」が線対称のようになってますけど、こんなのもあるのでした。

 

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