2022年11月29日火曜日

さ留かに合戦(堤吉兵衛) その7

P5 国立国会図書館蔵

P4P5

(読み)

あとへたまこき多り

あとへたまごきたり


てかにをた春けこと

てかにをたすけこと


のし多゛いをきゝて

のしだ いをききて


いる

いる


ところへ

ところへ


者ちう

はちう


春もき

すもき


たりて

たりて


[上へ]

 うえへ


(大意)

そののち、たまごが来てかにを助け

ことの次第をきいているところへ

はちとうすもやって来て


(補足)

 文章は細身の彫りで読みやすい。下段文末四角の中は「上へ」とあります。

 かには逃げ去るさるを指さし、手ぬぐいで涙をぬぐっています。このかには潮もふくし涙もながすようです。

 かにの姿を頭から足先まで細かく拡大してみると、とてもよく描けていることがわかります。着物の青と白の市松模様の色を置くのも細かい仕事です。

 地面の薄い肌色、背景の小山の辛子色、ところどころに草地の薄緑、空は赤と色の配置もなかなかであります。

 

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