2022年11月6日日曜日

かち\/山(堤吉兵衛) その7

P6P7上段 国立国会図書館蔵

(読み)

とつてあげ

とってあげ


まし与ふと

ましょうと


もふし多ぬ

もうしたぬ


きのやまへ

きのやまへ


由きたぬき

ゆきたぬき


尓志者゛を

にしば を


おハせうし

おわせうし


ろふり

ろふり


可ち\/と

かちかちと


ひおうち

ひをうち


可けあお

かけあお


ぎけれバ

ぎければ


たぬきい

たぬきい


まのおとハ

まのおとは


なんのおと

なんのおと


たときけバ

だときけば


こゝハかち\/

ここはかちかち


やまなりと

やまなりと


もふしける□

もうしける


(大意)

(かたきを)とってあげましょう」と

申し、たぬきのいる山へ行き、

たぬきにに柴(しば)を背負わせ、うしろから

カチカチと

火を打ちかけあおいだところ

たぬきは「今の音は何の音だ」ときくので

ここは「カチカチ山だ」と申しました。


(補足)

P6P7見開きで文章が上下段に分かれてます。

「多ぬきのやまへ由きたぬき」、変体仮名と平仮名を使ってます。「じじい」と「ばばあ」もそうですが、おなじ言葉は表現をかえるようにしているようです。

「うしろふり」、「ふり」は「から」のまちがえではないかとおもうのですけど、わかりません。

「ひおうち可けあおぎ」、「お」は「を」。「う」と変体仮名「可」(か)はいつもながらそっくり。「あお」とふたつならんで形の比較がしやすい。「あ」は現在では縦棒がゆるく左に曲がりますが当時はまっすぐで、右に点をつければ「お」となります。

 うさぎはやはり目が赤いほうがぐっとそれらしくなります。絵の内容と文章が前後していますがよくあることです。

 

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