2022年11月10日木曜日

かち\/山(堤吉兵衛) その11

P10 国立国会図書館蔵

奥付

(読み)

本ど尓たぬきの

ほどにたぬきの


ふねハつちなる

ふねはつちなる


由へおい\/

ゆえおいおい


く春゛れ个るとき

くず れけるとき


うさぎハ可いを

うさぎはかいを


もつて者゛ゝあの

もってば ばあの


可多きおもい

かたきおもい


しれとたぬ

しれとたぬ


きおうちころし

きをうちころし


个るぞめで多し\/\/\/

けるぞめでたしめでたしめでたしめでたし


奥付

定 價壹 銭

ていかいっせん


御届  明 治十  八 年 四月 廿 日 吉 川 町 五バンチ

おとどけめいじじゅうはちねんしがつはつか よしかわまちごばんち


編 輯  出  版 人 堤  吉 兵衛

へんしゅうしゅっぱんにんつつみきちべえ


(大意)

(沖にゆく)ほどにたぬきの

船は土でできているため

だんだんとくずれてゆくそのとき

うさぎは櫂を持ち

「ばばあのかたきおもしれ〜」と

たぬきを打ち殺したのでした。


(補足)

 絵も文字も彫りがとても鮮明です。また背景の注連縄(しめなわ)・垂(しで)とうさぎが裃で平服している姿の取り合わせが簡潔ながらきまっています。うさぎはババア汁を食わせられてしまったじじいに敵討ちの報告をしているところのようです。

「たぬきおうちころし」、「お」が「を」ではありませんが5行目「可いをもつて」では「を」を用いています。

 いつもながら定價壹銭に驚きます。豆本の大きさは約8cm×12cmくらいなのですが実際に作ってみるとその小ささにさらに驚きます。こんな小さな文字を彫師は彫っていたのかとさらにさらに驚くのでありました。

 裏表紙は白紙ですので省略しました。

 

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