P5 国立国会図書館蔵
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(読み)
「それ尓王多らせ
それにわたらせ
たまふ盤へいけ
たもうはへいけ
が多のおん大 将 と
がたのおんたいしょうと
見多てまいる
みたてまいる
王れこそハ熊
われこしはくま
可゛への次郎 奈本
が えのじろうなお
ざねひつ可へして
ざねひっかえして
志やうぶ阿れ
しょうぶあれ
ヲイ\/\/
おいおいおい
(大意)
「そこで渡ろうといらっしゃるは
平家方の御大将とお見受けした。
われこそは熊谷次郎直実、
引っ返して勝負あれぇ
ハイハイハイ
(補足)
最後の「ヲイ\/\/」が読めません。「ヲ」or「ハ」?
「たまふ盤」、変体仮名「盤」(は)としました。「は」の変体仮名のほとんどは「者」ですが、「盤」も使われます。
ここまでの豆本に出てきている「熊谷次郎直実」は、なぜか「くまがい」ではなく「くまがへ」となっています。
直実の背中にも敦盛とおなじように丸いものがあります。矢ではなかったのかも。
豆本の複製を10冊ほどつくりました。小さいことは承知していましたが、できあがったものを実際に手にとるとその小ささにあらためて驚きました。こんな小さいものを木版で絵師・彫師・摺師の手をへて、そして製本しているのです。いまでは豆本の大きさより何倍も拡大して細かく見ることができるのですが、その精緻さにまたまた驚き感嘆してしまいます。
この頁は色ズレもなく直実の緊迫した表情や馬の動き、ほんとにそのまま直実の名乗りを上げている声が聞こえてきそうです。
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