2022年5月11日水曜日

舌切雀 その17

P10 国立国会図書館蔵

(読み)

せ うちき志゛ゞいおやこ尓つゞらふたつを

しょうじきじ じいおやこにつづらふたつを


い多゛しおもいつゞら可るいつゞらふ多つの

いだ しおもいつづらかるいつづらふたつの


うちいづれ尓てもおミやげ尓

うちいづれにておおみやげに


さし阿け多いといへバ

さしあげたいといえば


ぢゞいとしより尓ハ

じじいとしよりには


可るい

かるい


つゞら

つづら


可゛


よいとて

よいとて


もらい个る

もらいける


(大意)

正直親子に葛籠ふたつを

出して、重い葛籠と軽い葛籠ふたつの

うち、どちらでもおみやげに

差し上げたいというと

ジジイは年寄りには

軽い葛籠が

よいというので

それをもらいました。


(補足)

「せうちき」、「せ」が「セ」に見えます。平仮名だとはおもうのですが。

「可るいつゞら」、前後の文脈から読めましたが、「可る」がひとつで「る」にみえて、わかりずらい。

「うちいづれ尓ても」、「う」は変体仮名「可」にみえるし、「ち」は「ら」にみえて、悩みます。「尓て」、「て」の曲がり部分がかすれていて、読みづらい。

「いへバ」、「へ」には見えませんけど、流れから判断。

「ぢゞいとしより尓ハ」、「とし」がしばらくわかりませんでした。お恥ずかしい。「尓ハ」、「ハ」は確かですけど、「尓」は「尓」に見えないので、あてずっぽうです。

 爺さんと娘さんのすっかりくつろいでくだけた様が上手です。爺さんの表情が特にいいです。

 

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