P12前半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵
(読み)
第 廿 一 波 山
多゛以尓志゛ういち者゛さん
だ いにじゅういちば さん
波 山 ハ俗 間 尓婆 娑\/といへり伊豫の山 中 尓天ハ
者゛さん 曽く可ん 者゛さ いよ や満奈可
ば さんはぞくかんにば さばさといえりいよのやまなかにては
者゛さ\/の化 と天子供 を於どせり夜ふけて山 家の
者゛け こども よ さんか
ば さばさのば けとてこどもをおどせりよふけてさんかの
門 口 越者゛さ\/と多ゝくゆへ戸を明 ミれバ何 も奈き
可どぐち と 阿け 奈尓
かどぐちをば さばさとたたくゆえとをあけみればなにもなき
こと度 ゝ 奈り常 尓深 藪 尓春ミて人 目尓可ゝら須゛
多び つ年 ふ可やぶ ひとめ
ことたびたびなりつねにふかやぶにすみてひとめにかからず
(大意)
第廿一波山
波山は世間では「婆娑婆娑」と呼ばれている。伊予の山中では
「バサバサの化け」と言われて子どもをおどした。夜更けに山中の家の
門口をバサバサとたたく音がするので戸を開けてみれば、何もない
ことがたびたびあった。常に深い藪に住んでひと目にふれず
(補足)
「者゛さ\/と多ゝくゆへ」、一文字一文字確認するのに良い練習問題。
「常」のくずし字は特徴的です。
「深藪尓春ミて」、「尓」の中央が虫食いのためか切れています。ここの「ミ」はわかりやすいけどすぐ右下にある「明ミれバ」の「ミ」はわかりにく。