2020年4月1日水曜日

豆本 桃太郎噺 その13






 P.11 , P.12

(読み)
[つゝき]
可しらのお尓
かしらのおに

をもゝ太郎 とりこと
をももたろうとりこと

奈し多可らを多゛さ
なしたからをだ さ

バいのち者゛可りハ多
ばいのちば かりはた

多春くべしといひ
たすくべしといい

个連バも者や可奈
ければもはやかな

王じとおもひ多可
わしとおもいたか

らハのこら須゛い多゛春
らはのこらず いだ す

べしといふゆへ[次へ]
べしというゆえ


(大意)
桃太郎は鬼の頭領を取り押さえ
「宝を出せば命だけは助けてやろう」
と言いました。
鬼はもはやかなわぬとおもい、
宝を残らず出せと言うので


(補足)
 日本のあちこちに悪鬼を踏みつけている仏像はたくさんあります。
ここの絵もまさにこれ、金棒を振り回し鬼を踏みつけています。
鬼の虎パンツと脛(すね)の虎柄脚絆(きゃはん)は今でも売れそう。

「とりこと」、「と」と「こ」のちがいはパッと見た目はわかりにくいですが、ジッと比較すると異なってます。

「多多春くべし」(たたすくべし)、「助けてやろう」ということですが、「たたすく」を調べてもヒットしません。糺(ただす)ではないですし、「た」を一文字余計に入れてしまったかも。

「个連バ」、何度も出てきてますが、ここの「个」はいつもより「々」がくずれてます。


P11P12見開きです。



 この物語一番の見せ場、絵の隅々まで実によく描かれています。
鬼の体の筋肉の盛り上がりも、ササッと筆を走らせているだけでモリモリ感がでていますし、苦悶の表情もうめき声が聞こえてきそう。

 このまま額装して飾ってもよさそうです。


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