P.11 , P.12
(読み)
[つゝき]
可しらのお尓
かしらのおに
をもゝ太郎 とりこと
をももたろうとりこと
奈し多可らを多゛さ
なしたからをだ さ
バいのち者゛可りハ多
ばいのちば かりはた
多春くべしといひ
たすくべしといい
个連バも者や可奈
ければもはやかな
王じとおもひ多可
わしとおもいたか
らハのこら須゛い多゛春
らはのこらず いだ す
べしといふゆへ[次へ]
べしというゆえ
(大意)
桃太郎は鬼の頭領を取り押さえ
「宝を出せば命だけは助けてやろう」
と言いました。
鬼はもはやかなわぬとおもい、
宝を残らず出せと言うので
(補足)
日本のあちこちに悪鬼を踏みつけている仏像はたくさんあります。
ここの絵もまさにこれ、金棒を振り回し鬼を踏みつけています。
鬼の虎パンツと脛(すね)の虎柄脚絆(きゃはん)は今でも売れそう。
「とりこと」、「と」と「こ」のちがいはパッと見た目はわかりにくいですが、ジッと比較すると異なってます。
「多多春くべし」(たたすくべし)、「助けてやろう」ということですが、「たたすく」を調べてもヒットしません。糺(ただす)ではないですし、「た」を一文字余計に入れてしまったかも。
「个連バ」、何度も出てきてますが、ここの「个」はいつもより「々」がくずれてます。
P11P12見開きです。
この物語一番の見せ場、絵の隅々まで実によく描かれています。
鬼の体の筋肉の盛り上がりも、ササッと筆を走らせているだけでモリモリ感がでていますし、苦悶の表情もうめき声が聞こえてきそう。
このまま額装して飾ってもよさそうです。
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