P.35 4行目〜最後。「飯能市立博物館所蔵淺海公介家55号文書」
(読み)
之一 件 無證據 二相 成 内 済 仕 候而者 弥 以 此上 桴
のいっけんしょうこなきにあいなりないさいつかまつりそうらいてはいよいよもってこのうえいかだ
川 下 難相成 当 惑 之餘 り御利解 不顧 御愁
かわさげあいなりがたくとうわくのあまりごりかいかえりみずごしゅう
訴奉申上 候 ハ前 書 散 乱 之材 木 右 場所 二
そもうしあげたてまつりそうろうはぜんしょさんらんのざいもくみぎばしょに
(大意)
の一件については証拠なく内々にて済ましてしまってはいよいよこの先
筏川下げが困難になってしまいます。当惑のあまりご理解を顧みず私どもの苦しみを
訴え出てしまいました。といいますのも、以前に申し上げた散乱した材木は以前のまま同じ場所に
(補足)
「證據」、「證」は証の「據」は拠の旧字。
「内済」、表ざたにせず内々にことを済ますこと。「済」のくずし字がわかりにくいので、2文字セットで覚えたほうがよさそう。旧字の「濟」のようですが?
「餘り」、「余」のくずし字がわかりにくい。
「愁訴」、同情を求めて苦しみや悲しみを訴えること。
「奉申上候ハ」、「候ハ」と以下の文章に続け、前述したその理由を続けて述べます。
この頁でも、自分たちのしてしまった事柄の合理的な理由を述べることはなく、ひたすら心情的に自分たちの村の窮状を訴えたりしています。内済にされることを恐れていますが、筏の川下げをするにはまた同じところで同じようにする可能性が高いからでしょう。
それならば、そうなってしまわざる理由をのべ、戸口村との妥協点を探すという現実的な方策を探れば良いことです。心情的にお役所に解決をお願いすることは双方にとってよろしくありません。
均平さんの後ろ盾には筏組合があったはずですが、今ひとつ頼りにはなっていなかったようです。
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