P.184 最初〜最後まで。「飯能市立博物館所蔵平沼家文書」
(読み)
御公 儀与り立 退 と被仰 候 而ハ
ごこうぎよりたちのきとおおされそうろうては
中 々 立 退不申候 村 方 ゟ 立 退 と
なかなかたちのきもうさずそうろうむらかたよりたちのきと
被申 候 而ハ小供 被申 候 而も早 速
もうされそうろうてはこどももうされそうろうてもさっそく
立 退 申 候 御噺 し御座候 中 々
たちのきもうしそうろうおはなしござそうろうなかなか
おしき人 二御座候 先 生 と被申 候
おしきひとにござそうろうせんせいともうされそうろう
仁 盤飛のヘ午 二而廿 二才 与申 事
ひとはひのへうまにてにじゅうにさいともうすこと
又 壱人 ハ廿 六 才 其 外 壱人 国 元 へ
またひとりはにじゅうろくさいそのほかひとりくにもとへ
諸 物 とリニ出候 人 者十 八 才 と
しょもつとりにでそうろうひとはじゅうはっさいと
申 事 廿 六 才 二相 成 候 人 行 之義者
もうすことにじゅうろくさいにあいなりそうろうひとぎょうのぎは
岩 穴 ゟ 十 丁 程 も行 丸 山 有之
いわあなよりじっちょうほどもゆきまるやまこれあり
是 へ夕 方 登り 其 夜中
これへゆうがたのぼりそのよなか
(大意)
御公儀より立ち退けと言われても
なかなか立ち退くと言わなかったのですが、村役人より立ち退けと
言われると、(小供被申候而も)さっそく
立ち退くとのおはなしで御座いました。なかなか
おしい人でございます。先生と言われる
方は丙午(ひのえうま)生まれで22才とのこと、
もうひとりは26歳、そしてもうひとりは国元へ
いろいろな物を取りに出かけている18才との
ことです。26才になる人は行の修行のとき
岩穴より10町(約1km)程も行くと丸山があり
そこへ夕方登り、その夜中に
(補足)
「小供被申候而も」、前後の文章の流れから大意を考えるのですが、うまくつなげる文章が思い浮かびません。(まだ子どもと言われていても)でしょうか。
「中々おしき人二御座候」、なかなか好感の持てる人であります。
「盤」(は)、変体仮名。「春盤゛」のくずし字がよく暖簾や看板で見かけるそば(蕎麦)。
「飛」はこの覚記には二箇所出てきます。P13「女共飛上候」ではくずし字辞典にある字体ですが、ここの「芸」に似たような字体は辞書にありませんでした。
「登」のくずし字、「癶」をくずした感じが目安。「と」の変体仮名。
3人の若者が村のはずれの岩穴に住んでしまい、行者のような生活をしてしまっているようです。
この覚記とどのような関わりがあるのか、わかりません。
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