2019年8月19日月曜日

変事出来二付心得覚記 その277




 P.180 最初〜最後まで。「飯能市立博物館所蔵平沼家文書」

(読み)
様 無之  取 崩 し薪 二可用立
さまこれなくとりくずしまきにようだてべく

候   処  是以    薪 沢 山 之場所 故
そうろうところここをもってまきたくさんのばしょゆへ

望  候   もの無之  増 永 難儀 ニハ
のぞみそうろうものこれなくぞうえいなんぎには

候得共   再 應 御利解 之趣
そうらえどもさいおうごりかいのおもむき

難 點 止 書 面 之通 り相 増
なんてんやめしょめんのとおりあいまし

都合 永 四 貫 四 拾  七 文 二而
つごうえいよんかんよんじゅうななもんにて

御拂  被仰付    候   様 仕    度 奉存候、
おはらいおおせつけられそうろうようつかまつりたくぞんじたてまつりそうろう

依之 一 同 連 印 を以  申  上 候   以上
よっていちどうれんいんをもってもうしあげそうろういじょう

    岩 鼻 附 御料  所
    いわはなつきごりょうしょ


(大意)
様子もなく取り壊して薪にしようにも
ここはもともと薪が沢山あるところなので
買い取る者もおりません。金額が増えることは困ったこと
ですが、再度ご理解していただきたく
わがままはやめ、書面の通り
都合4貫47文にて
売却していただきたく申し渡されるよう存じます。
以上一同承認の連印にてお願い申し上げます。

岩鼻附御料所


(補足)
 村役人たちは3貫871文が希望でしたが、結局は役人が見積もった4貫47文となりました。
村役人は今回の騒動でお叱りや急度お叱りの罰を受けながらも、値引き交渉をしたわけで
現在の感覚でなくても、そのような経緯と事情があれば、お上の提示した価格にははぁ~と
ひれ伏し、言い値で決定となりそうなところです。
 当時の村役人たちに聞けば、それとこれとは違うのです、名栗村の生活は厳しいのですぞ、と
一喝されて引っ込むしかなさそうです。

「崩し」、下部は「月」ふたつなのに、左右でくずし字が異なります。同じ「月」に見えるだけで異なる字なのでしょうか。
「望」、前回も出てきましたが、3つの部品を縦に並べた感じのくずし字。
部品を縦に並べるのくずし字によくあるようで、「野」「仰」「印」などがあります。
「難點止」、読み方がわかりません。意味も前後の流れからの推測です。
「奉存候」、三文字を一文字のように押しまとめてしまい読めませんが、文章の流れから予想がつきます。


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