2019年4月22日月曜日

変事出来二付心得覚記 その158




 P.75 最初〜最後まで。「飯能市立博物館所蔵平沼家文書」

(読み)
者 共 ハ追 々 立 帰 り候   中 、村 方
ものどもはおいおいたちかえりそうろうなか、むらかた

新 組 百  姓  紋 次郎 ・豊 五郎 ・
しんぐみひゃくしょうもんじろう・とよごろう

畄 吉 儀如何 致  候   哉、立 戻  不申
とめきちぎいかがいたしそうろうか、たちもどりもうさず

二付 、其 段  岩 鼻 御役 所 江
につき、そのだん いわはなおやくしょへ

御訴   奉申上       置 、一 同 二而諸 々
おうったえもうしあげたてまつりおき、いちどうにてもろもろ

尋   中 、三 人  者 共 一 昨 夜迄 追 々
たずねるなか、さんにんのものどもいっさくやまでおいおい

銘 々 宅 江立 戻 り申  出候   二付 、
めいめいたくへたちもどりもうしでそうろうにつき、

出先 様 子承     糾  候   所  、去ル十  三 日
でさきようすうけたまわりただしそうろうところ、さるじゅうさんにち

夜中 、何 方 之者 共 不存  男
よなか、いずかたのものどもぞんぜずおとこ


(大意)
少しずつ村に帰ってきたようでしたが、村の
新組百姓である紋次郎・豊五郎
留吉はどうしたことでしょうか、戻って
来ませんでしたので、そのことについては岩鼻お役所へ
ご報告しておきました、村役人たちでいろいろ
尋ね探し回っていると、3人のものたちは一昨日の夜までに徐々に
それぞれ自宅へ帰宅したとの連絡がありましたので、
出かけていって彼らの様子をうかがい、聞きただしました。そうしました所、先月の13日
夜中に、どこのものかわからない男


(補足)
 今までこの覚記にかかれている事柄の繰り返しなってますが、この数頁は岩鼻役所へ出した書付の内容の控えなのでそのまま記しています。

 村役人であった名主さんたちの重要な役目として、このような書付や物・金銭・土地の貸し借りや、役所からの様々な文書などを書き写して、次の名主さんへ回覧してゆくという仕事がありました。
大変に急ぎの回覧物であった場合は書き写す時間がないので、要点だけ箇条書きにして控えるか、または見たという印だけつけて次に回しました。現在の回覧板にその慣習が残ってます。

「中」、3回出てきます。どれも筆順は、横長の右回りの楕円をクルッと書いて縦棒です。
「岩鼻」の上に一文字分の空白があります。闕字(けつじ)という敬意を表す慣習です。
改行して行頭から書き出すこともありますがそれは平出(へいしゅつ)。

「一昨夜」、「作」の「乍」は「乍恐」と同じくずし字でとても特徴的。

「追々」「諸々」「銘々」、似たような表現がいろいろ出てきます。
「立帰り」「立戻り」、「立〜」のような表現はたくさんありますが、この場合は特に意味のない接頭語だとおもいます。


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