P.23 5行目〜最後まで。「飯能市立博物館所蔵平沼家文書」
(読み)
松 太郎 申 様 、先 聞 べし、
まつたろうもうすさま、まずきくべし、
上 名栗 村 ハ漸 くこの位 ま天゛
かみなぐりむらはようやくこのくらいまで
取 詰 拵 、此 書 付 を見遍しと
とりつめこしらえ、このかきつけをみべしと
申 掛 合 候 得 共 、周 吉 ・艮 助 外二 両 人
もうしかけあいそうらえども、しゅうきち・りょうすけほかにりょうにん
申 様 、上 名栗 ハどふして此 位 で
もうすさま、かみなぐりはどうしてこのくらいで
聞遍し、浅 海 戸ハ後家二而さへ
きべし、あさかいどはごけにてさへ
一 軒 天゛弐千両 、時 かし帳 消 、質 物 者
いっけんで にせんりょう、ときかしちょうけし、しちものは
(大意)
まずは聞いてくれ、と松太郎は言いながら
ようやく上名栗村は交渉してこれくらいまで詰めることができたのだと
書付を示した。しかし、周吉や良助と他の二人が言うには
上名栗村はどうしてこのくらいで受け入れてしまったのだ。浅海戸では後家さんでさへ
一軒で2千両、当座の貸しは帳消し、質者は(返却)
(補足)
「聞べし」が2度出てきます。「聞」のくずし字は特徴的です。また「見遍し」を入れて「べし」が3回使われてます。
「天゛」(で)、変体仮名。これは2度使われてます。「この位ま天゛」、「一軒天゛」。
「取詰拵」(とりつめこしらえる)、施金などの内容を詰めて、書付し署名したものをやっと拵えた、ということでしょう。
「弐千両」、ここの「両」は筆の運びがとてもよくわかります。「ち」をかいてそのまま左回りに
「∞」の右側の部分をかき、さらにそのまま左側の部分をやはり左回りにかく。
「時かし」、3行目のものは分かりづらかったですが、ここでは「可し」とわかりやすい。
今日で70回となりました。
昨年11月16日から始めて2019年1月24日までほぼ毎日投稿しています。
このペースでゆくと、5月下旬か6月中には終了することになるはずです。
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