2019年1月14日月曜日

変事出来二付心得覚記 その60




 P.19 8行目〜最後まで。「飯能市立博物館所蔵平沼家文書」

(読み)
久林  二待 請 打 毀
くばやしにまちうけうちこわし

参 り候  ハヽ、下 名栗 者物 持 ゟ 是 程
まいりそうらわば、しもなぐりはものもちよりこれほど

村 方 江施  し致  候   間  、打 毀  候   事 ハ
むらかたへほどこしいたしそうろうあいだ、うちこわしそうろうことは

勘 弁 以多し呉 候   様 此 書 付 ヲ
かんべんいたしくれそうろうようこのかきつけを

見せ、一 同 手を置 願  いふ事 二御座候、
みせ、いちどうてをおきねがいいうことにござそうろう


(大意)
久林で一揆勢が打ち壊しに
やってくるのを待っていると、下名栗の資産家がこれ程
村へ施しをしているのに、(まだ)打ち壊し続けようとしていることは
(もう)勘弁してくれとこの書付を一揆勢に
見せ、村役人たちは全員手をつき、お願い説得をしました。


(補足)
「久林」、浅海戸をもう少し下った付近。
「待請」「物持」、ちょうど同じ位置に「待」と「持」が並んでいる。旁の「寺」がほとんど同じくずし字になってます。
「是程」、「程」の旁が独特です。

「勘弁」、「勘」の偏が「舌」に似てます。
「以多し」(いたし)、変体仮名。「致」が何度か出てきているのに、この部分はかな文字です。

「手を置く」、辞書には「手をこまぬく、施すすべがない、思案にあまる」とあります。
手をついて勘弁してもらうということではなさそうです。

「願」、偏の「原」がこんな形になるのですね。



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