P.28 最初〜5行目まで。「飯能市立博物館所蔵平沼家文書」
(読み)
申 、其 内 又 々 松 太郎 参 り、
もうす、そのうちまたまたまつたろうまいり、
先 の御噺 し申 上 候 者小前 もの、
さきのおはなしもうしあげそうろうはこまえもの、
志゛やうたん二も有之 遍く蛭 子
じょう だんにもこれあるべくえびす
講 の様 成 事 あて古とも那以、
こうのさまなることあてこともない、
只 今 私 に用 向 有之 と申 事 二付
ただいまわたしにようむきこれありともうすことにつき
(大意)
(もうす、)そうこうするうちに再度松太郎がやってきた。
先程の小前百姓がお話をいたしました件ですが
冗談にしたって、まさか蛭子講のようなことになって
とんでもないことをしてしまいました。
私に用事があるということなのでまいりましたが、
(補足)
この頁全体から漂っている雰囲気(筆圧、筆の細さ、とめやはらい、ながれ具合、墨汁の量など)はもう源左衛門さんのものではありません。女性でしょう。奥様でしょうか。
とてもきれいで筆の運びが手に取るようにわかります。
「志゛やうたん」、冗談(だとおもいます)。
「蛭子講」(えびすこう)。「ひるこ」としても間違いではないようです。
「あて古とも那以」(当て事も無い)、とんでもない、途方もない、見込みはずれだ。
この部分の大意は上記のとおりとしましたが「蛭子講の様成事」が??です。
とても丁寧に書かれていて、くずし字の部分も流れるように、ごちゃごちゃして文字がつぶれるということもなく筆先をなぞることができてしまいます。