P65 東京国立博物館蔵
(読み)
本 堂 能石 津へ踏(フミ)段 其 外 皆 石 塔 能古 キ
ほんどうのいしづえ ふみ だんそのほかみなせきとうのふるき
を用 ユ石 階(タン)を二三 十 間 登 ル其 石 多んも
をもちゆいし だん をにさんじっけんのぼるそのいしだんも
皆 石 塔 なり登 リ津くして上 平 地ニして
みなせきとうなりのぼりつくしてうえへいちにして
百 五六 十 間 もあるべし中 尓石 能塔 あり画
ひゃくごろくじっけんもあるべしなかにいしのとうありが
圖ニ出ス雨 降 出ス日野ヨリ迎 の者 来 ル雨 具
ずにだすあめふりだすひのよりむかえのものきたるあまぐ
傘(カラカサ)ワランジ迄テ為持 来 ル邊 土ニてワランジ
からかさ わらんじまでもたせきたるへんどにてわらんじ
もなき所 なり夫 より日野までハ二里田舎
もなきところなりそれよりひのまではにりいなか
路 なり田畑 を過 て亦 山 ニ入 皆 かや生 して
みちなりたはたをすぎてまたやまにいりみなかやしょうじて
大 木 なし雨 ヤミ月 を戴(イタゝ)ゐて其 路 蛉(スゝ)虫
たいぼくなしあめやみつきを いただ いてそのみち すず むし
春多゛くなきかやを押 分 \/ 山 々 を見渡 し
すだ くなきかやをおしわけおしわけやまやまをみわたし
(大意)
略
(補足)
「石津へ」、いしずえ ―ずゑ【礎】〔石据えの意〕
① 建物の土台となる石。柱石。土台石。礎石。「建物の―だけが昔をしのばせる」
「ワランジ」、わらんじ わらんぢ 【〈草鞋〉 】
「わらじ(草鞋)」に同じ。「やつちの糸の―をはき」〈幸若舞・山中常盤〉
「日野ヨリ迎の者来ル」わけですから、客人江漢さんをたいそう気遣い、それ相応にもてなしていることがわかります。雨の中鈴虫なく風情はあっても、「かやを押分\/」の田舎路、大変なことに変わりありません。
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