2025年2月24日月曜日

江漢西遊日記二 その55

P65 東京国立博物館蔵

(読み)

本 堂 能石 津へ踏(フミ)段 其 外 皆 石 塔 能古 キ

ほんどうのいしづえ  ふみ だんそのほかみなせきとうのふるき


を用 ユ石 階(タン)を二三 十 間 登 ル其 石 多んも

をもちゆいし  だん をにさんじっけんのぼるそのいしだんも


皆 石 塔 なり登 リ津くして上 平 地ニして

みなせきとうなりのぼりつくしてうえへいちにして


百  五六 十 間 もあるべし中 尓石 能塔 あり画

ひゃくごろくじっけんもあるべしなかにいしのとうありが


圖ニ出ス雨 降 出ス日野ヨリ迎  の者 来 ル雨 具

ずにだすあめふりだすひのよりむかえのものきたるあまぐ


傘(カラカサ)ワランジ迄テ為持 来 ル邊 土ニてワランジ

  からかさ わらんじまでもたせきたるへんどにてわらんじ


もなき所  なり夫 より日野までハ二里田舎

もなきところなりそれよりひのまではにりいなか


路 なり田畑 を過 て亦 山 ニ入 皆 かや生  して

みちなりたはたをすぎてまたやまにいりみなかやしょうじて


大 木 なし雨 ヤミ月 を戴(イタゝ)ゐて其 路 蛉(スゝ)虫

たいぼくなしあめやみつきを  いただ いてそのみち  すず むし


春多゛くなきかやを押 分 \/  山 々 を見渡 し

すだ くなきかやをおしわけおしわけやまやまをみわたし

(大意)

(補足)

「石津へ」、いしずえ ―ずゑ【礎】〔石据えの意〕

① 建物の土台となる石。柱石。土台石。礎石。「建物の―だけが昔をしのばせる」

「ワランジ」、わらんじ わらんぢ 【〈草鞋〉 】

「わらじ(草鞋)」に同じ。「やつちの糸の―をはき」〈幸若舞・山中常盤〉

 「日野ヨリ迎の者来ル」わけですから、客人江漢さんをたいそう気遣い、それ相応にもてなしていることがわかります。雨の中鈴虫なく風情はあっても、「かやを押分\/」の田舎路、大変なことに変わりありません。

 

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