2025年2月17日月曜日

江漢西遊日記二 その48

P58 東京国立博物館蔵

(読み)

伊州(セイシ ウ)よりハ寒 し朝 夕 ハ給  小袖 を用 ユ銅 板

   せいしゅう よりはさむしあさゆうはあわせこそでをもちゆどうはん


能そき目か年ハ此 様 なる物 初 メテ見ル故

のぞきめがねはこのようなるものはじめてみるゆえ


甚  タ者ヤ里二 人嫁 出て壱 人ハ孫 三 郎

はなはだはやりふたりよめでてひとりはまごさぶろう


妻 と見ヘ歳 十  六 七 紫   色 能ちりめん

つまとみえとしじゅうろくしちむらさきいろのちりめん


振 袖 を着て吾 尓逢フ老 人 夫 婦も

ふりそでをきてわれにあうろうじんふうふも


不離  して者なし春る家 尓蔵 春る画色 \/

はなれずしてはなしするいえにぞうするえいろいろ


出し見セル中 尓ハ能キ画もあり

だしみせるなかにはよきえもあり


十  一 日 朝 曇  ムシ暑 シニ枚 婦春満山 水 亦

じゅういちにちあさくもりむしあつしにまいふすまさんすいまた


ツイ立 花鳥  ヲ認  メル茶 菓子ホ 出してもてな春

ついたてかちょうをしたためるちゃがしなどだしてもてなす


日も暮レ个連ハ庭 能石 灯 籠 尓火をと保し

ひもくれければにわのいしどうろうにひをとぼし

(大意)

(補足)

「伊州(セイシウ)」、伊勢が念頭にあったのでしょう、「勢州」です。

「給小袖」、袷です。江漢さん、やはりそそっかしい。

「壱人」、主人ではない。

「十一日」、天明8年八月十一日。1788年9月10日。

「石灯籠」、「籠」が二文字のようにみえます。なぜか竹冠の漢字(筋など)はくずし字だと二文字のようになってます。

 江漢さん、これ以上はなかろうというおもてなしで気分は上々、「ニ枚婦春満山水亦

ツイ立花鳥ヲ認メル」とたくさんの作品を仕上げたようです。

「紫色能ちりめん振袖」、髪型はともかく、こんな姿だったのでしょうか。 

 手持ちのちりめん本「朝顔」の挿絵です。

 

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