P58 東京国立博物館蔵
(読み)
伊州(セイシ ウ)よりハ寒 し朝 夕 ハ給 小袖 を用 ユ銅 板
せいしゅう よりはさむしあさゆうはあわせこそでをもちゆどうはん
能そき目か年ハ此 様 なる物 初 メテ見ル故
のぞきめがねはこのようなるものはじめてみるゆえ
甚 タ者ヤ里二 人嫁 出て壱 人ハ孫 三 郎
はなはだはやりふたりよめでてひとりはまごさぶろう
妻 と見ヘ歳 十 六 七 紫 色 能ちりめん
つまとみえとしじゅうろくしちむらさきいろのちりめん
振 袖 を着て吾 尓逢フ老 人 夫 婦も
ふりそでをきてわれにあうろうじんふうふも
不離 して者なし春る家 尓蔵 春る画色 \/
はなれずしてはなしするいえにぞうするえいろいろ
出し見セル中 尓ハ能キ画もあり
だしみせるなかにはよきえもあり
十 一 日 朝 曇 ムシ暑 シニ枚 婦春満山 水 亦
じゅういちにちあさくもりむしあつしにまいふすまさんすいまた
ツイ立 花鳥 ヲ認 メル茶 菓子ホ 出してもてな春
ついたてかちょうをしたためるちゃがしなどだしてもてなす
日も暮レ个連ハ庭 能石 灯 籠 尓火をと保し
ひもくれければにわのいしどうろうにひをとぼし
(大意)
略
(補足)
「伊州(セイシウ)」、伊勢が念頭にあったのでしょう、「勢州」です。
「給小袖」、袷です。江漢さん、やはりそそっかしい。
「壱人」、主人ではない。
「十一日」、天明8年八月十一日。1788年9月10日。
「石灯籠」、「籠」が二文字のようにみえます。なぜか竹冠の漢字(筋など)はくずし字だと二文字のようになってます。
江漢さん、これ以上はなかろうというおもてなしで気分は上々、「ニ枚婦春満山水亦
ツイ立花鳥ヲ認メル」とたくさんの作品を仕上げたようです。
「紫色能ちりめん振袖」、髪型はともかく、こんな姿だったのでしょうか。
手持ちのちりめん本「朝顔」の挿絵です。
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