2025年2月6日木曜日

江漢西遊日記二 その37

P45 東京国立博物館蔵

(読み)

なか\/蘭 画ハ蝋 油を以 テ作 ル故 尓一 朝  ニ出来

なかなからんがはろうゆをもってつくるゆえにいっちょうにでき


春゛彼 カ如 きザツ画尓非 ス故 尓能かれて前

ず かれがごときざつがにあらずゆえにのがれてまえ


能倡家(シヨロヤ)尓行キ見ンとて行 个る尓お山 十  二三 人

の   じょろや にゆきみんとてゆきけるにおやまじゅうにさんにん


吾 を中 尓おきぐる里ニ取 巻き多りさて之(コレ)

われをなかにおきぐるりにとりまきたりさて  これ


尓ハ甚  タ困 り多り此 地の風 尓や酒 も肴  も

にははなはだこまりたりこのちのふうにやさけもさかなも


未 タ出来(タサ)ツ甚  タテレ多る者 ニてよふ\/酒 さ

いまだ   ださ ずはなはだてれたるものにてようようさけさ


かなを持 来 リ夫 より話 シなとして所 持し多る

かなをもちきたりそれよりはなしなどしてしょじしたる


能そき目か年を取 よせ両  国 橋 中 洲の涼 ミ

のぞきめがねをとりよせりょうごくばしなかすのすずみ


の景 を見セけ連ハお山 どもきもをつぶし

のけいをみせければおやまどもきもをつぶし


夫 より心 ロや春く者なし个る明日(アス)も御咄 シニ

それよりこころやすくはなしける   あす もおはなしに

(大意)

(補足)

「彼カ如きザツ画尓非ス」、「ザツ画」は雑画でしょうけど、自信過剰の三乗ぐらいの江漢さん、余程月僊和尚が気に入らないようであります。なお月僊の画はネットでたくさん見ることができます。

「能かれて」、逃れて(のがれて)、です。月僊の画をザツ画とけなしながらも、それでも気分はイライラ、気分転換にというところでしょう。

「倡家(シヨロヤ)」、娼家(しょうか)。天明年間には伊勢古市廓内の人家は342軒、妓楼70軒、寺3ヶ所、大芝居2場という記録が残っている。参宮者の集まる伊勢の地では遊廓が繁盛し、中でも伊勢神宮の地、古市は隆盛をほこったと宇治山田市史にある、とありました。

 娼家でお山12,3人に囲まれて(江漢もテレるようだ)、どんちゃん騒ぎをするかとおもいきや、のぞき目がねでお山たちがきもをつぶす様子を楽しむとは、いかにも江漢らしい。

 

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