P45 東京国立博物館蔵
(読み)
なか\/蘭 画ハ蝋 油を以 テ作 ル故 尓一 朝 ニ出来
なかなからんがはろうゆをもってつくるゆえにいっちょうにでき
春゛彼 カ如 きザツ画尓非 ス故 尓能かれて前
ず かれがごときざつがにあらずゆえにのがれてまえ
能倡家(シヨロヤ)尓行キ見ンとて行 个る尓お山 十 二三 人
の じょろや にゆきみんとてゆきけるにおやまじゅうにさんにん
吾 を中 尓おきぐる里ニ取 巻き多りさて之(コレ)
われをなかにおきぐるりにとりまきたりさて これ
尓ハ甚 タ困 り多り此 地の風 尓や酒 も肴 も
にははなはだこまりたりこのちのふうにやさけもさかなも
未 タ出来(タサ)ツ甚 タテレ多る者 ニてよふ\/酒 さ
いまだ ださ ずはなはだてれたるものにてようようさけさ
かなを持 来 リ夫 より話 シなとして所 持し多る
かなをもちきたりそれよりはなしなどしてしょじしたる
能そき目か年を取 よせ両 国 橋 中 洲の涼 ミ
のぞきめがねをとりよせりょうごくばしなかすのすずみ
の景 を見セけ連ハお山 どもきもをつぶし
のけいをみせければおやまどもきもをつぶし
夫 より心 ロや春く者なし个る明日(アス)も御咄 シニ
それよりこころやすくはなしける あす もおはなしに
(大意)
略
(補足)
「彼カ如きザツ画尓非ス」、「ザツ画」は雑画でしょうけど、自信過剰の三乗ぐらいの江漢さん、余程月僊和尚が気に入らないようであります。なお月僊の画はネットでたくさん見ることができます。
「能かれて」、逃れて(のがれて)、です。月僊の画をザツ画とけなしながらも、それでも気分はイライラ、気分転換にというところでしょう。
「倡家(シヨロヤ)」、娼家(しょうか)。天明年間には伊勢古市廓内の人家は342軒、妓楼70軒、寺3ヶ所、大芝居2場という記録が残っている。参宮者の集まる伊勢の地では遊廓が繁盛し、中でも伊勢神宮の地、古市は隆盛をほこったと宇治山田市史にある、とありました。
娼家でお山12,3人に囲まれて(江漢もテレるようだ)、どんちゃん騒ぎをするかとおもいきや、のぞき目がねでお山たちがきもをつぶす様子を楽しむとは、いかにも江漢らしい。
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