P60 東京国立博物館蔵
(読み)
参 りとふござ里ま春死シでいてハ一 向 尓
まいりとうござりますししでいてはいっこうに
夢中 故 どふそ生 て参 度 其 極 楽 ハ
むちゅうゆえどうぞいきてまいりたくそのごくらくは
どこでこさりま春と云フ爰 ハ多 ク門 徒宗
どこでござりますというここはおおくもんとしゅう
ニて此 門 も其 宗 旨ニて皆 極 楽 ヘやるつ
にてこのもんもそのしゅうしにてみなごくらくへやるつ
毛里なれど生 ていき多以ニハ坊 主もちと
もりなれどいきていきたいにはぼうずもちと
困 入 多ると見得タリ我 等爰 ニ於 て申 ニハ
こまりいりたるとみえたりわれらここにおいてもうすには
さて生(イキ)て居てハ極 楽 ヘいかれぬ訳(ワケ)ハ此
さて いき ていてはごくらくへいかれぬ わけ はこの
世界 能圖ハ丸 ヒ物 シヤ其 外 ハ天ンでご
せかいのずはまるいものじゃそのほかはてんでご
ざる此 様 なる世界 可゛天 の中 尓いくつもご
ざるこのようなるせかいが てんのなかにいくつもご
ざりま春其 うちニ極 楽 世界 可゛ありて
ざりますそのうちにごくらくせかいが ありて
(大意)
略
(補足)
「門徒宗」、浄土真宗のこと。真宗、一向宗とも。鎌倉初期,法然の弟子の親鸞が創始した浄土教の一派。阿弥陀仏の力で救われる絶対他力を主張し,信心だけで往生できるとする。
江漢さんは、御婦人の心からの真摯な疑問と希望に、「坊主もちと困入多る」とおもいつつも、御婦人が一番納得するであろう答えを、きっと「地球ノ圖」を指さしながら、説明したこととおもいます。
御婦人は真剣な表情で、「地球ノ圖」と江漢さんの顔を交互に見つつ、かすかにうなずくさまが見えてきそうです。
じつに、生き生きとした会話と場面が、感動的です。
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