P14 国文学研究資料館蔵
(読み)
で者へりの
ではいりの
ふ志゛由う二
ふじ ゆうに
奈いやう二や
ないようにや
志゛りをバ大 きく
じ りをばおおきく
き里やれそして
きりやれそして
可年ハとり
かねはとり
よいやう二
よいように
まとめて
まとめて
於く可゛いゝ
おくが いい
まんまと
まんまと
ぬすひと可゛
ぬすびとが
くれハいゝ可゛
くればいいが
これを
これを
志まつ多ら
しまったら
とうぞくよけの
とうぞくよけの
まもりをひつ者゜奈して
まもりをひっぱ なして
おこふ
おこう
アゝま可゛ある奈ら
ああまが あるなら
尓ごしらへ
にごしらへ
をして
をして
可つく
かつぐ
やう二
ように
春る
する
と
と
いゝ
いい
可年ぐらの
かねぐらの
ミち\/へハまき
みちみちへはまき
ちらしおきまし多
ちらしおきました
尓本ひを
にほいを
可き
かき
\/
かき
ぬ春
ぬす
ミ尓
みに
者いるで
はいるで
ござろふ
ござろう
(大意)
(萬々)「出はいりの不自由のないように、蔵裏の壁に大きな穴を切っておいてやれ。そして、金は盗りやすいように、まとめておくといい」
(手代一)「これをしまったら、盗賊よけのまもりを引っ放しておこう」
(萬々)「あぁ、間に合うなら、荷ごしらえをして、かつげるようにしておくといい」
(手代二)「金蔵への道々には、まき散らしておきました。匂いをかぎながら、盗みに入るでござりましょう」
(補足)
カスレやかけもおおく読みづらいですけど、やっていることがはっきりしているので大意はつかめます。
「や志゛りをバ大きくき里やれ」、『家尻を切・る① 裏手の壁に穴をあけて盗みにはいる。「倉の―・つたれ」〈浄瑠璃・ひぢりめん卯月の紅葉•中〉』『やじり 0【家尻】
家・蔵などの裏手。「初雪の降り捨ててある―哉」〈おらが春〉』
「ぬ春ミ尓」、「ぬ春」は前後からの予想です。
のこぎりで切っているのは「とうぞくよけのまもり」、のこぎりは現在のものとまったく同じ。「尓ごしらへ」をしている手代、荷拵えの紐のかけ方も今と変わりません。
家から人がいなくなって、蔵を開け放すだけにしないところが萬々に金が集まってしまう持ち前の器量か。