2024年4月4日木曜日

延命長尺御誂染長壽小紋 その8

P3P4 国文学研究資料館蔵

P3

(読み)

いのちといふものふとくじやうぶ尓ミへ

いのちというものふとくじょうぶにみえ


てもミじ可起あり本そくて

てもみじかきありほそくて


よ王\/志多る丹毛奈可゛き

よわよわしたるにもなが き


ありみ可け尓ハよらぬ

ありみかけにはよらぬ


もの奈り

ものなり


「一 代 の満もり本んぞん

 いちだいのまもりほんぞん


王可゛あ川゛可り能子の

わが あず かりのこの


うまれる多び尓いの

うまれるたびにいの


ちのとんやへき多り

ちのとんやへきたり


玉 ひそれ\/の

たまいそれぞれの


いんゑん尓志多可゛ひて

いんえんにしたが いて


あるいハ奈可゛くあるい

あるいはなが くあるい


ハミじ可起いのち

はみじかきいのち


を可いとりてさ

をかいとりてさ


づけ玉 ふ春こ

ずけたまうすこ


しもゑこひ

しもえこひ


いきハ奈され

いきはなされ


春゛と可く奈可゛

ず とかくなが


ミし可ハさ多゛

みじかはさだ


まれるいんゑん

まれるいんえん


奈り

なり

(大意)

 命というものは、太くて丈夫に見えても短いのもあり、細くて弱々しくしていても長いものがあり、見かけにはよらぬものである。

「人間の守り本尊が、おのれの預かりし子の生まれるたびに、命の問屋へおいでになって、それぞれの因縁に従って、長い命やあるいは短い命を買い取って授けられる。少しもえこひいきはなされず、いずれにせよ命の長短は定まった因縁なのである。

(補足)

「満もり本んぞん」、『人はそれぞれの生まれ年の干支によって、守り本尊が決まっていて』、ここに出てらっしゃた普賢菩薩は辰・巳、虚空蔵菩薩は丑・寅とありました。

「あるいハ奈可゛くあるいハミじ可起」、『② (「あるいは…あるいは…」の形で)同じような事柄を列挙して,さまざまな動作が行われたさまを表す。「―海山に遊んで休養をはかり,―勉学にいそしむ者もある」〔漢文訓読に由来する語法。古く「あるひは」と書かれることもあったが,「あるいは」が本来の形〕』

「よ王\/志多る丹毛」、ここの変体仮名「毛」(も)はこのあとのものとかたちがことなっていますが、両方とも同じように使われます。

 日除け暖簾に染め抜いてある字は「大丈夫請合」、P4の箱看板のと同じでした。

それにしてもにぎやかすぎる店前です。

 

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