P3 国文学研究資料館蔵
P4
(読み)
P3
「八 まんさ満おうま
はちまんさまおうま
尓て可い尓き玉 ふ
にてかいにきたまう
「ふ个゛ん本゛さつきをつけ玉 ふ
ふげ んぼ さつきをつけたまう
小象(こぞう)よそのさげている
こぞう よそのさげている
命 を多゛以し尓もてふと
いのちをだ いじにもてふと
くじやうぶ
くじょうぶ
奈やうでも
なやうでも
本川き
ぽっき
りと
りと
おれ
おれ
類ぞ
るぞ
「者やの勘 平 尓さ
はやのかんぺいにさ
づけるいのちハ三 尺
ずけるいのちはさんしゃく
尓多る可たら春゛
にたるかたらず
でよい志奈の
でよいしなの
やのお者ん尓さ
やのおはんにさ
づけるいのち
ずけるいのち
P4
を一 尺 四 寸
をいっしゃくよんすん
八百屋お七
やおやおしち
尓さづ个る
にさずける
いの
いの
ち
ち
を
を
一 尺 五寸
いっしゃくごすん
もらひ
もらい
多いと
たいと
ふどうさ
ふどうさ
ま者ん
まはん
ゑり可
えりか
そで口
そでくち
をかふ
をかう
きどり
きどり
奈り
なり
(大意)
八幡様がお馬にて買いにいらっしゃった。
普賢菩薩が、小象に注意あそばす。
「小象よ、その提げている命を大事に持て。太くて丈夫なようでも、ぽっきりと折れるぞ」。
「早野勘平に授ける命のは、三尺にたるかたらずでよい。信濃屋のお半に授ける命を一尺四寸、八百屋お七に授ける命を一尺五寸もらいたい」と不動様、まるで半襟か袖口を買うような様子である。
(補足)
早野勘平(仮名手本忠臣蔵)は三十一歳で亡くなったので、三十になるかならずと引掛け。信濃屋のお半(浄瑠璃「桂川連理柵(かつらがわれんりのしがらみ)」)は十四歳で一尺四寸、八百屋お七は一五歳で一尺五寸ともじっている。
半襟も袖口も汚れやすいところを防ぐために日常的に生地をあてて縫いかえたりするので身近な事柄。
不動明王様のお顔は京伝の知り合いを似せて描いたような気がします。こんな挿絵でも、右手には煩悩を断ち切る剣をもち、左手には煩悩から吊り上げる縄を持たせ、きまりを守っています。
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