2024年4月10日水曜日

延命長尺御誂染長壽小紋 その14

P5 国文学研究資料館蔵

(読み)

「とう本゛うさく可゛

 とうぼ うさくが


命  ハやり能ごとし

いのちはやりのごとし


うらし満太郎 可゛

うらしまたろうが


命  ハ多゛以可゛さ能

いのちはだ いが さの


ことし三うら

ごとしみうら


のお本春け

のおおすけ


可゛命  ハ多

が いのちはた


て可゛さのごとし

てが さのごとし


此 三いろハおもて

このみいろはおもて


多ち多る大 せ川

たちたるたいせつ


奈多゛うぐ奈り

など うぐなり


いのちもま多

いのちもまた


人 の多め尓

ひとのために


大 切 奈多゛う

たいせつなど う


ぐ奈り可゛てん可゛

ぐなりが てんか


\/

がてんか

(大意)

「東方朔の命は槍のごとし。浦島太郎の命は台傘のごとし。三浦大介の命は立傘のごとし。

この三つの傘は、世間に知られる大切な道具である。命もまた人のために大切な道具であるのだ。おわかりか、おわかりか。

(補足)

「多゛以可゛さ」、『1 近世、大名行列などのとき、袋に入れ長い棒の先につけて、小者に持たせたかぶり笠。2 (台傘)傘袋に納めた妻折り傘。高位の人の外出の際に飾り傘として用いた』

「多て可゛さ」、『たてがさ【立て傘】① ビロードまたは羅紗(ラシヤ)などの袋に入れた長柄の傘。江戸時代大名などの行列の時,供の者に持たせた』

 これら三つの傘は、身分社会でしたので威儀をととのえるもの、要は格好つけです。武士階級が滅んでいく原因の一つでありました。京伝はそれを承知で皮肉ったのでしょうか。

 

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