P10 国文学研究資料館蔵
(読み)
「けいせいハ
けいせいは
よ以可ら遍
よいからへ
びをつ可ひて
びをつかいて
よりつ可す
よりつかず
きやくハあ川
きゃくはあつ
くなりもふ
くなりもう
可へる\/ と
かえるかえると
いふところを
いうところを
奈ん多゛へ者゛可
なんだ へば か
らしいとあ
らしいとあ
多ま可ら能ん
たまからのん
でかゝる
でかかる
と可く
とかく
女 は男
おんなはおとこ
の命
のいのち
とり
とり
なり
なり
(大意)
「傾城は宵から蛇をつかって寄りつかず、客はまだかまだかとじれて、「もう帰る帰る」と言うところを、遊女は「何だえ、馬鹿らしい」と、頭からのんでかかる。このようにして、女は男の命とりとなる。
(補足)
「けいせい」、『けいせい【傾城・契情】
① 〔漢書外戚伝「一顧傾二人城一,再顧傾二人国一」から。君主がその色香に迷って城や国を滅ぼす,の意〕美人。美女。「矢おもてにすすんで―を御らんぜば」〈平家物語•11〉
② 遊女。近世には太夫・天神などの高級な遊女をさす』
「遍びをつ可ひてよりつ可す」、のらりくらりと時間をかせぐことをいう、とありました。
「帰る帰る」はもちろん客を蛙にみたてて、蛇である遊女がそれを頭からのんで、客を見くびることを洒落ています。うまいシャレ。蛙は蛇にのまれてしまうので、命とりとなる。
0 件のコメント:
コメントを投稿