2024年4月26日金曜日

延命長尺御誂染長壽小紋 その30

P10 国文学研究資料館蔵

(読み)

「けいせいハ

 けいせいは


よ以可ら遍

よいからへ


びをつ可ひて

びをつかいて


よりつ可す

よりつかず


きやくハあ川

きゃくはあつ


くなりもふ

くなりもう


可へる\/ と

かえるかえると


いふところを

いうところを


奈ん多゛へ者゛可

なんだ へば か


らしいとあ

らしいとあ


多ま可ら能ん

たまからのん


でかゝる

でかかる


と可く

とかく


女  は男

おんなはおとこ


の命

のいのち


とり

とり


なり

なり

(大意)

「傾城は宵から蛇をつかって寄りつかず、客はまだかまだかとじれて、「もう帰る帰る」と言うところを、遊女は「何だえ、馬鹿らしい」と、頭からのんでかかる。このようにして、女は男の命とりとなる。

(補足)

「けいせい」、『けいせい【傾城・契情】

① 〔漢書外戚伝「一顧傾二人城一,再顧傾二人国一」から。君主がその色香に迷って城や国を滅ぼす,の意〕美人。美女。「矢おもてにすすんで―を御らんぜば」〈平家物語•11〉

② 遊女。近世には太夫・天神などの高級な遊女をさす』

「遍びをつ可ひてよりつ可す」、のらりくらりと時間をかせぐことをいう、とありました。

 「帰る帰る」はもちろん客を蛙にみたてて、蛇である遊女がそれを頭からのんで、客を見くびることを洒落ています。うまいシャレ。蛙は蛇にのまれてしまうので、命とりとなる。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿