2024年4月28日日曜日

延命長尺御誂染長壽小紋 その32

P11P12 国文学研究資料館蔵

P11

(読み)

[酒 で命  をけ川゛る]

 さけでいのちをけず る


「命  をけ川゛ると志り奈可゛らどふ

 いのちをけず るとしりなが らどう


もさけ可゛やめら

もさけが やめら


れねへどう

れねえどう


春るもん多゛

するもんだ


のミやうじん

のみょうじん


さ満へでも

さまへでも


ぐ王ん可゛け

が んが け


を志やう可

をしようか


「さあいゝ可ん

 さあいいかん


多゛もふ一 つ

だ もうひとつ


のめ能王可

のめのわか


くさと志

くさとし


玉 へつぎ春

たまえつぎす


てられ多

てられた


可んざま

かんざま


しハあ

しはあ


け天

けて


志まふ

しまう


可゛いゝ

が いい


公(きミ)ハね

  きみ はね


さけのあぢ

ざけのあじ


志ら春゛多゛

しらず だ


「岩 田の〈春やまハよく

 いわたの すやまはよく


のめるぞ

のめるぞ


「もふのめねへ

 もうのめねえ


これ多゛\/

これだ これだ

(大意)

「命をけずると知りながら、どうも酒がやめられねえ。どうするもんだの明神様へでも願掛けしようか。

「さあ、いい燗だ(神田)。もう一杯飲めの若草とし給え。つぎたしたままの燗冷ましはあけてしまえ。公は寝酒の味知らずだ。

「岩田の『𠆢春』やまはうまいぞ

「もう飲めねえ、これだこれだ。

(補足)

「どう春るもん多゛のミやうじんさ満」とそれをうけて「さあいゝ可ん多゛」と続けて、神田明神様に引っ掛けた洒落か。

「のめ能王可くさと志玉へ」、俗曲文庫端唄及都々逸集○雉子〔地唄〕(三下リ)に「雉子(きぎす)鳴く、野辺の若草摘み捨てられて」とあり、そのもじり、とありました。

「公(きミ)ハねさけのあぢ志ら春゛」、いろいろ想像できますが、何でしょうねぇ?🤔

「岩田の〈春やま」、京都加茂の岩田醸造の銘酒『素山』とありました。ネットでググってもありませんでした。「や」は変体仮名「也」でしょうか。かたちが?

 

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