2024年4月6日土曜日

延命長尺御誂染長壽小紋 その10

P4 国文学研究資料館蔵

(読み)

春し八 十  八

すしはちじゅうはち


ハよねのまもり

はよねのまもり


とて人 可゛めで

とてひとが めで


多可る由へね多゛ん

たがるゆへねだ ん


高 直 奈り七 十  八

こうじきなりななじゅうはち


十  の命  もよい\/

じゅうのいのちもよいよい


尓奈りこし可゛ぬ

になりこしが ぬ


け多りてあし可゛

けたりてあしが


き可奈ん多りろう

きかなんだりろう


もう志多り春れ

もうしたりすれ


バいきている可ひも

ばいきているかいも


奈起ゆへ多とへいのち

なきゆへたとえいのち


可奈可゛くてもこれら

がなが くてもこれら


ハこれらハひけもの

はこれらはひけもの


尓てね多゛ん可くべ川

にてねだ んかくべつ


や春し

やすし

(大意)

(値段はや)すい。八十八は米(よね)の守りになり人がめでたがるので、値段は高値(たかね)になる。命も70、80になると、よいよいになり、腰が抜けたり、手足がきかなくなってきたりする。老いぼれになってしまうと、生きている甲斐もなくなってしまうので、たとえ命が長くても、これらは売れ残りとなり値段は格別に安い。

(補足)

「高値」、これは二文字セットで覚えたほうがよいくずし字です。よく出てきます。

「よい\/」、こんな時代から使われていたとは。

「ろうもう」、老耄ですが、〔「老」は七〇歳,「耄」は八,九〇歳の老人〕とは知りませんでした。

「ひけもの」、『ひけもの【引け物】

欠点があって,値引きしてある品物。「―の強売(おしつけうり)でもするやうに」〈二人女房•紅葉〉』

「ね多゛ん」、この変体仮名「多」は「さ」の一画目の横棒がないかたちとは異なるかたちのもの。

 

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