P4 国文学研究資料館蔵
(読み)
春し八 十 八
すしはちじゅうはち
ハよねのまもり
はよねのまもり
とて人 可゛めで
とてひとが めで
多可る由へね多゛ん
たがるゆへねだ ん
高 直 奈り七 十 八
こうじきなりななじゅうはち
十 の命 もよい\/
じゅうのいのちもよいよい
尓奈りこし可゛ぬ
になりこしが ぬ
け多りてあし可゛
けたりてあしが
き可奈ん多りろう
きかなんだりろう
もう志多り春れ
もうしたりすれ
バいきている可ひも
ばいきているかいも
奈起ゆへ多とへいのち
なきゆへたとえいのち
可奈可゛くてもこれら
がなが くてもこれら
ハこれらハひけもの
はこれらはひけもの
尓てね多゛ん可くべ川
にてねだ んかくべつ
や春し
やすし
(大意)
(値段はや)すい。八十八は米(よね)の守りになり人がめでたがるので、値段は高値(たかね)になる。命も70、80になると、よいよいになり、腰が抜けたり、手足がきかなくなってきたりする。老いぼれになってしまうと、生きている甲斐もなくなってしまうので、たとえ命が長くても、これらは売れ残りとなり値段は格別に安い。
(補足)
「高値」、これは二文字セットで覚えたほうがよいくずし字です。よく出てきます。
「よい\/」、こんな時代から使われていたとは。
「ろうもう」、老耄ですが、〔「老」は七〇歳,「耄」は八,九〇歳の老人〕とは知りませんでした。
「ひけもの」、『ひけもの【引け物】
欠点があって,値引きしてある品物。「―の強売(おしつけうり)でもするやうに」〈二人女房•紅葉〉』
「ね多゛ん」、この変体仮名「多」は「さ」の一画目の横棒がないかたちとは異なるかたちのもの。
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