P7P8 国文学研究資料館蔵
P7
(読み)
「七十五日いきのび
やうとおもつてかふ尓
可多ミとハき尓かゝる
思ひき川て一本゜ん
可うべい
「せにを可むやう奈可川本多゛
一トきれ可゛や可川て百尓
つひている百まても
い起やうか
「おれ可゛命と
思ふ此うへ多゛のあハせ
をまげて可う可川本多゛
まけさ川せへ奈
「それごらふじろ
いきてゐるい本多゛
(大意)
「七十五日長生きしようとおもって買うのに、片身とは気にかかる。思い切って一本買うべい。
「食べるのがもったいないような鰹だ。一切れだけ買っても百まで長生きできそうだから、一本買いすれば必ず百まで長生きできるだろう。
「俺が命とおもっているこの上田の袷(あわせ)を質に入れて買う鰹だ。まけさっせへな。
「そらこれを御覧じろ、生きている魚だ。
(補足)
今回の会話部分が字がボケているような感じなのは摺りを重ねた版木での版だったからでしょうか。キレがわるく読みづらい。
「七十五日」、『しちじゅうごにち しちじふご―【七十五日】
① 初物(はつもの)を食べると長生きするという日数。「なすびの初なりを,目籠に入れて売り来たるを,―の齢(よわい),これ楽しみの」〈浮世草子・日本永代蔵2〉』
「せにを可むやう奈可川本多゛」、「せにを可むやう奈」がなんのことかとサッパリ?「銭を噛むような」(高価な食べものを食べること、高価で食べるのがもったいないこと)でした。
「まげて」、『⑤ 〔「質(しち)」と発音が同じ「七」の第二画がまがっていることからか〕品物を質に入れる。「当分いらぬ夏綺羅―・げて七十両」〈浮世草子・好色旅日記〉』
「い本」、『いお いを 【魚】さかな。うお。「白き鳥の…水のうへに遊びつつ―をくふ」〈伊勢物語9〉』
「一トきれ可゛や可川て百尓つひている百まてもい起やうか」、よくわからない部分なのですが大意のようにしました。
褌一丁の魚屋さんの座り方が独特です。曲げも粋にしたのかこれも独特。棒手振りで売っているので右側にも桶が見えています。
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