P11P12 国文学研究資料館蔵
P11
(読み)
さけといふや川
さけというやつ
ハ人 の命 をけづ
はひとのいのちをけず
るこ可゛た奈なり
るこが たななり
ゆへにさけをの
ゆえにさけをの
むこと越けづる
むことをけずる
といふ可川本ぶし
というかつおぶし
のやせるもけ川゛
のやせるもけず
るゆへ奈りよう
るゆえなりよう
じの本そく
じのほそく
奈るもけ川゛る由へ
なるもけず るゆえ
なり松 い多のう春
なりまついたのうす
く奈るもけ川゛る由へ
くなるもけず るゆえ
なり可つ本ぶしも
なりかつおぶしも
やうじも松 のい多もかけ
ようじもまつのいたもかけ
可゛へあり人 の命 尓ハ
が えありひとのいのちには
可け可゛へ奈しけづ徒多だけハ
かけが えなしけずっただけは
うまること奈し
うまることなし
(大意)
酒というやつは、人の命を削る小刀である。ゆえに酒をのむことを「けずる」という。鰹節が細くなるのも削るからである。楊枝が細るのも削るためである。松板の薄くなるのも削るからである。鰹節も楊枝も松板も替えがある。人の命は他のもので替えることができない。なくなった分だけを埋め合わせるものはない。
(補足)
この頁は読みやすくなりました。
「けづ徒多だけハ」、変体仮名「徒」(つ)はひさしぶり。
「命」という木工品をかかえ、小刀で削るしぐさ、ほんとうにどこかでやっていそう。
後ろの屏風(or襖絵)は、杜甫の飲中八仙歌「知章騎馬似乗舩」(知章が馬に騎(の)るは舩に乗るに似たり)。知章がうしろにややのけぞって、酔っ払って船をこいでいます。落款は山東京伝の「山」。
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