2024年4月27日土曜日

延命長尺御誂染長壽小紋 その31

P11P12 国文学研究資料館蔵

P11

(読み)

さけといふや川

さけというやつ


ハ人 の命  をけづ

はひとのいのちをけず


るこ可゛た奈なり

るこが たななり


ゆへにさけをの

ゆえにさけをの


むこと越けづる

むことをけずる


といふ可川本ぶし

というかつおぶし


のやせるもけ川゛

のやせるもけず


るゆへ奈りよう

るゆえなりよう


じの本そく

じのほそく


奈るもけ川゛る由へ

なるもけず るゆえ


なり松 い多のう春

なりまついたのうす


く奈るもけ川゛る由へ

くなるもけず るゆえ


なり可つ本ぶしも

なりかつおぶしも


やうじも松 のい多もかけ

ようじもまつのいたもかけ


可゛へあり人 の命  尓ハ

が えありひとのいのちには


可け可゛へ奈しけづ徒多だけハ

かけが えなしけずっただけは


うまること奈し

うまることなし

(大意)

 酒というやつは、人の命を削る小刀である。ゆえに酒をのむことを「けずる」という。鰹節が細くなるのも削るからである。楊枝が細るのも削るためである。松板の薄くなるのも削るからである。鰹節も楊枝も松板も替えがある。人の命は他のもので替えることができない。なくなった分だけを埋め合わせるものはない。

(補足)

 この頁は読みやすくなりました。

「けづ徒多だけハ」、変体仮名「徒」(つ)はひさしぶり。

 「命」という木工品をかかえ、小刀で削るしぐさ、ほんとうにどこかでやっていそう。

後ろの屏風(or襖絵)は、杜甫の飲中八仙歌「知章騎馬似乗舩」(知章が馬に騎(の)るは舩に乗るに似たり)。知章がうしろにややのけぞって、酔っ払って船をこいでいます。落款は山東京伝の「山」。

 

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