P7P8 国文学研究資料館蔵
P7
(読み)
いのちといふものハ
いのちというものは
てお起可゛多いし奈り
ておきが だいじなり
一 心 のてを起可゛和るひと
いっしんのておきが わるいと
い可本ど奈可起命 を
いかほどながきいのちを
さづ可りても王れと
さずかりてもわれと
王がで尓ちゞめること
わがでにちぢめること
ありい可り者ら多
ありいかりはらた
ち丹くい可ハいゝよ
ちにくいかわいいよ
ろこび可奈しミおし
ろこびかなしみおし
い本しいの多ぐひ
いほしいのたぐい
ミ奈いのちをちゞ
みないのちをちぢ
めるやくしや奈り
めるやくしゃなり
(大意)
命というものは手入れが大切である。細やかな手入れがいきとどかないと、どれほどの長い命を授かっても、自分自身で縮めてしまうことがある。怒り・腹立ち・憎い・かわいい・喜び・悲しみ・惜しい・欲しいのたぐい、これらみな命を縮める役者(張本人)である。
(補足)
一読しただけでは、読みづらく、区切りもどこか判別するのに難しい。何度も音読するのが一番。全体に変体仮名「可」がよみずらい。
「てお起」、『常に心がけて取扱うこと』。
「一心のてを起」、「一心」が一文字「正」のように見えてしまいます。
「王れと王がで尓」、『わ‐が‐でに【我がでに】《「でに」はそれ自身での意》自分自身で。 みずから』。
「い可り〜おしい本しい」、区切りが難しいところ。
命を延ばす工夫をあれもこれも描いているのが楽しくおかしい、がこんなバカバカしいことをわれわれは日々やっているのですよと、京伝ニヤリとわらってながめている。
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