P7P8 国文学研究資料館蔵
P8
(読み)
ありせ川ちんの満ど可ら
ありせっちんのまどから
梅 可゛ゝを志多いこいふ年て
うめが かをしたいこいぶねで
月 見をし土用 まへ尓本とゝ
つきみをしどようまえにほとと
ぎ須をきゝ本ん須起尓
ぎすをききぼんすぎに
者つ可川をゝくひせ可き
はつがつおをくいせがき
ふ年の夕 春ゝミ日 れんき
ぶねのゆうすずみにちれんき
の志者゛ゐ个んぶつせつ多い
のしば いけんぶつせったい
ぢやを春ゝり奈可らや起
じゃをすすりながらやき
多んこをしてやりこ者多゛の
だんごをしてやりこはだ の
こぶま起でどひろくをひ
こぶまきでどぶろくをひ
つ可けても多のしミ尓二
っかけてもたのしみにふた
いろハ奈しこゝろさへ
いろはなしこころさえ
や春けれバいのちの能び
やすければいのちののび
ることあ多可も小む(す)めの
ることあたかもこむ す めの
せ多け多ぬきのきん玉
せたけたぬきのきんたま
南 風 尓あて多るあめ
みなみかぜにあてたるあめ
能ごとし
のごとし
(大意)
(あり)雪隠の窓から梅の香りを楽しみ、肥(人糞)を運ぶ船で月見をし、土用前にホトトギスを聞き、盆過ぎに初鰹を食い、施餓鬼(霊を弔う)船で夕涼み、日蓮忌に芝居見物をし、接待茶をすすって焼団子を食い、小鰭(こはだ)の昆布巻でどぶろくをひっかけ、そんなことをしても、楽しいことにかわりはない。
心さえ穏やかならば、命が延びることはあたかも、小娘の背丈(あっというまに背がのびる)、狸の金玉(八畳敷にのびる)、南の風にあたる飴のようである。
(補足)
この部分は難しい。ややかすれているうえに、濁点が省略されているのでさらにわかりにくい。やっと読めても意味がちんぷんかんぷん。何度も音読するもつっかえつっかえになってしまいます。
ここであげている二つの対比はそれら二つがどれも時期がずれていたり、ふさわしくない組み合わせであったりする事柄になっています。
「南風」、南のくずし字は基本で、東西南北といっしょにおぼえます。なかでも「北」が特に特徴的。
小鰭の昆布巻きが、この当時からあったのですね。こんな上等な旨いものを食うなら、どぶろくなんぞではなく、上等な下り酒を飲みたいところ。
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