P16P17 国文学研究資料館蔵
P16
(読み)
中 でもとうらく奈
なかでもどうらくな
女 郎 ハいろとさけと
じょろうはいろとさけと
くらひもの尓
くらいものに
志んしやうを
しんしょうを
いれあけもの日の
いれあげものびの
ミあ可゛りへ八重可り
みあが りへやえがり
のそん里やう可
のそんりょうが
つもり\/ てつまら
つもりつもりてつまら
奈く奈りこふくや
なくなりごふくや
こまものやそん
こまものやそん
里やうやきのしや
りょうやきのじや
まで尓可しやく
までにかしゃく
せられ可んの
せられかんの
うちても
うちでも
すつ者多゛可で
すっぱだ かで
いるこれを
いるこれを
者川可んぢごくと
はっかんじごくと
いふ
いう
(大意)
なかでも道楽な女郎は、色と酒と食い物にすっかり入れあげ、物日の身上がりや積もりつもった損料で、どうしようもなくなった。呉服屋・小間物屋・損料屋・喜の字屋までに責め立てられ、寒の内でも素っ裸でいる。これを八寒地獄という。
(補足)
「中」、「ゆ」に見えるのは、筆順が同じだからでしょう。
「もの日」、五節句やその他特別な祝いの日。廓では紋日(もんび)ともいう。
「ミあ可゛り」、『みあがり 【身上がり・身揚がり】
遊女が自分から抱え主へその日の揚げ銭を払って休むこと。金のない情人と会うためにする場合が多い。「此三年が間の―買ひ懸り済させて」〈浮世草子・好色一代男7〉』
「そん里やう」、『そんりょう ―れう【損料】
衣服・道具などを借りたとき,使用料として支払う金銭』
「そん里やうや」、『そんりょうや ―れう―【損料屋】
料金をとって衣服・夜具・器具などを貸す商売。また,その商売の人』
「きのしや」、『きのじや 【喜の字屋】
① 吉原の遊郭内で,「台の物」と呼ばれる料理の仕出し屋の通称。享保(1716〜1736)年中,喜右衛門という者が評判をとったことに由来するという。「―の名も高く」〈洒落本・遊子方言〉』
「者川可んぢごく」、『はちかんじごく ―かんぢごく【八寒地獄】
〘仏〙 寒さに苦しめられる八種の地獄。すなわち,頞部陀(あぶだ)・尼剌部陀(にらぶだ)・頞唽陀(あせちだ)・臛臛婆(かかば)・虎虎婆(ここば)・嗢鉢羅(うはら)・鉢特摩(はどま)・摩訶鉢特摩(まかはどま)の称。氷の地獄』
この頁の人物や物品・建具などの輪郭が太めでくっきり彫られていて鮮明です。