中P6P7 東京都立図書館蔵
中P7
(読み)
むくハんと心 の多けを
むくわんとこころのたけを
つくしてちそうし
つくしてちそうし
可ヘリ尓ひとつの
かえりにひとつの
徒ゞらをミやげ
つづらをみやげ
尓あ多ゆる志やう
にあたゆるしょう
志゛起ふう婦ハよくの
じ きふうふはよくの
奈起ものゆへ可ろ起
なきものゆえかろき
つゞらをもらう
つづらをもらう
このところハ
このところは
こどもし由可゛
こどもしゅが
よく御ぞんじ
よくごぞんじ
奈り
なり
「おやすゞめ
おやすずめ
「春ゞめバ
すずめば
ミやことハ
みやことは
よくいふ多もの
よくいうたもの
じややま能奈可
じゃやまのなか
尓もこのやう奈
にもこのような
ざしき可ある
ざしきがある
「これハ
これは
い可い
いかい
御ちそう
ごちそう
じや
じゃ
(大意)
かえそうと、精一杯の心尽くしで料理をふるまい、
帰りにひとつの葛籠を土産にもたせました。
正直夫婦は欲のない人たちでありましたから、
軽い葛籠をもらいました。ここのところのいきさつは
お子様型のよくご存知なところであります。
親雀。
「雀(住め)ば都とはよくいったもじゃ。
山の中にもこのような座敷がある」
「これはすごいごちそうじゃ」
(補足)
「心」のくずし字が「公」のような形になっています。だいたいこのような形が多い。
「御ぞんし」「御ちそう」、「御」のくずし字は変化自在です。
じいさんばあさんの表情がやけにくっきりはっきり描かれていてどこか現代的であり近所でみかけるお年寄りという風情。
床の間の飾り台にのっかているのは雀のようなおしどりのような、置物か本物?!