2023年1月31日火曜日

西洋昔噺第一号八ツ山羊(長谷川武次郎) その13

P6後半 国立国会図書館蔵

(読み)

さらばわ可゛この敵(可多き)を討(う)ち果(者多)春へし、いま多゛とほくハ

さらばわが この  かたき を  う ち  はた すべし、いまだ とおくは


由くまじと、針仕事(しごと)の文庫(ぶんこ)を抱(かゝ)へつゝ、親子(おやこ)もろとも

ゆくまじと、    しごと の   ぶんこ を  かか へつつ、   おやこ もろとも


狼   の、あと追(お)ひ可けてぞ、いそぎ个利、

おおかみの、あと  お いかけてぞ、いそぎけり、


狼   盤山羊の子をたくさん久らひ、腹(者ら)者利ねむりを

おおかみはやぎのこをたくさんくらい、  はら はりぬむりを


催(もよふ)し个れ盤゛、うらて能山 耳ひるねして、ゐ多るところへ

  もよお しければ 、うらてのやまにひるねして、いたるところへ、


(大意)

そのようなことならば、我が子の敵を討ち果たさねば。まだ遠くには

行ってないだろうと仕事の道具をかかえ、親子ともども

狼のあとを追いかけて、急いだのでした。

狼は山羊の子をたくさん食って腹が一杯で眠たくなっていたので

裏手の山で昼寝をしているところへ


(補足)

 変体仮名をまったく読めぬところから学び始めて超初心者となり、研鑽を積むこと数年いまではなんとか初心者になったろうとはおもうものの、これほどきれいな筆刻の文章でさえも、まだまだ楽ちんには読むことができないのです。

前回のところで「るすちうのこと越」の部分、変体仮名「越」(を)がありました。いっぽう「敵を」「文庫を」「山羊の子を」など平仮名「を」がたくさん使われています。これはほとんど現在の平仮名「を」のかたちになってしまっていますが、変体仮名「遠」(を)です。

 

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