2023年1月12日木曜日

文福茶釜(小森宗次郎) その4

P2P3 国立国会図書館蔵

(読み)P2

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 つぎより


くづやハ

くずやは


もち可へりて

もちかえりて


や春ミける

やすみける


志可る尓その与◯

しかるにそのよ


奈尓可

なにか


もの

もの


おとの

おとの


せし

せし


由へ[二へ]

ゆえ にへ


(大意)

くず屋は持ち帰って

床に入りました。

しかし、その夜

何か物音がするので


(補足)

「もち可へりて」、変体仮名「可」(か)は「ら」や「う」など変化自在なかたちになって、悩ませる仮名です。

「その与」、変体仮名「与」(よ)は「与」をくずし字にするとそのまま「よ」のかたちになってわかりやすいのですが、「奈尓可」のように変体仮名「尓」(に)に似ることもあって、これまた悩みの元であります。

[二へ]、このつなぎは今までの豆本にありませんでした。「二丁」目の頁へ。籠の左側に「二」と漢数字があります。これが当時の頁に相当するものです。一枚の紙に二つの絵を摺り、それを山折りしてひとつの「丁」としました。つまり二丁に表裏があることになります。

 住職がくず屋へ話しかけている姿といい、縁側やその周辺を絵師・彫師は手早くササッと仕上げた感じで、摺師も流れ作業でこれまた簡便な仕事をした感じです。

 

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