2023年1月23日月曜日

西洋昔噺第一号八ツ山羊(長谷川武次郎) その5

P2中半 国立国会図書館蔵

(読み)

ち可き山 尓春み个流狼獲物(於ほ可みゑもの)をあさ流をり可ら、牝

ちかきやまにすみける    おおかみえもの をあさるをりから、め


山羊のまち尓行(由)くを見(ミ)るよ里、とび可ゝ里天食(くら)ハん

やぎのまちに  ゆ くを  み るより、とびかかりて  くら はん


とおもひしが、こゝ尓て古の母羊(おや)を食者んよ里、そのる

とおもいしが、ここにてこの   おや をくはんより、そのる


春にゆきて、こどもらを久らふ可゛、うまからんと於

すにゆきて、こどもらをくらうが 、うまからんとお


(大意)

近くの山に住む狼が獲物を探しているとき、

牝山羊が街に行くところをみて、とびかかって食ってしまおう

とおもったのですが、ここでこの親を食ってしまうより、その留守

の家に行って子どもたちを食うほうが、うまいだろうとおもい


(補足)

 小学校の読本のような字の並びですが、音読するとつっかえつっかえになってしまいます。

「ち可き山尓春み个流」、変体仮名を知らないと、まずは読めないでしょう。

「久らふ可゛」、変体仮名「久」は、2行前の「とび可ゝ里天」の変体仮名「天」とほとんど同じです。

 

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