2023年1月27日金曜日

西洋昔噺第一号八ツ山羊(長谷川武次郎) その9

P4後半 国立国会図書館蔵

(読み)

キ屋へゆき足 のさきを

キやへゆきあしのさきを


白(しろ)くぬ里き多り、はゝ

  しろ くぬりきたり、はは


能聲(こハ)色(いろ)を津可ひ、善(よき)

の  こわ   いろ をつかい、  よき


物(もの)をたくさん買(かふ)てきた

  もの をたくさん  かう てきた


可ら、者やく戸(と)を於あけと

から、はやく  と をおあけと、


云(い)ひ个れバ、子山羊(こやぎ)どもハこゑといひ

  い いければ、    こやぎ どもはこえといい


(大意)

(ペン)キ屋へ行って、足の先を

白く塗ってでなおして来ました。

母親の声色をまねて、よいものを

たくさん買ってきたから

はやく戸をお開けと

言うと、子山羊たちは

声といい、


(補足)

「き多り」、変体仮名「多」(た)のかたちで一番目にするのが「さ」の横棒がないものですが、ここの変体仮名「多」は「多」のかたちが残っているややゴチャゴチャした形になっています。

「はゝ能」、変体仮名「能」(の)はあらかじめ学んでいないと読めません。

「津可ひ」、変体仮名「津」よりも頻繁に使われる変体仮名「可」のほうが悩みます。2行先の行頭の「可」も同様。

 いままでみてきた豆本の絵は必ず背景や遠景までを含めてひとつの絵としてきましたが、この翻訳本ではそれらがありません。

 

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