P6前半 国立国会図書館蔵
(読み)
して、うらぐちよ里いでゆきぬ、
して、うらぐちよりいでゆきぬ、
や可゛て者ゝおやハかへ里き多利、みれバ子山羊ハ一 疋
やが てははおやはかえりきたり、みればこやぎはいっぴき
もをら須゛、ざしきもサン\゛/耳あらしてあれバ、アゝ
もおらず 、ざしきもさんざ んにあらしてあれば、ああ
あれほどいひ徒多お支し尓母 のいふことをき可ぬ
あれほどいいつたおきしにははのいうことをきかぬ
(大意)
(食い殺)して、裏口より出てゆきました。
やがて母親が帰ってみると、子ヤギは一疋も
おらず、座敷も散々に荒らしてあり、あぁ
あれほど言って聞かせておいたのに、母の言うことを聞かぬ
(補足)
子山羊が一疋、柵をとび越えて逃げてきています。
「うらぐち」、「ち」の縦棒中央部分が真っ直ぐではありません。変体仮名「知」(ち)でしょうか。
「かへ里き多利」、この頁では変体仮名「利」(り)がよく使われています。
「サン\゛/耳」、カタカナで記していますが、何か意味がありそう。「に」は変体仮名「耳」「尓」が混在しています。
「いひ徒多お支し尓」、このように読んでみたものの、こんな言葉があるのかどうか、読み間違いの可能性大であります。
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