2023年1月29日日曜日

西洋昔噺第一号八ツ山羊(長谷川武次郎) その11

P6前半 国立国会図書館蔵

(読み)

して、うらぐちよ里いでゆきぬ、

して、うらぐちよりいでゆきぬ、


や可゛て者ゝおやハかへ里き多利、みれバ子山羊ハ一 疋

やが てははおやはかえりきたり、みればこやぎはいっぴき


もをら須゛、ざしきもサン\゛/耳あらしてあれバ、アゝ

もおらず 、ざしきもさんざ んにあらしてあれば、ああ


あれほどいひ徒多お支し尓母 のいふことをき可ぬ

あれほどいいつたおきしにははのいうことをきかぬ


(大意)

(食い殺)して、裏口より出てゆきました。

やがて母親が帰ってみると、子ヤギは一疋も

おらず、座敷も散々に荒らしてあり、あぁ

あれほど言って聞かせておいたのに、母の言うことを聞かぬ


(補足)

 子山羊が一疋、柵をとび越えて逃げてきています。

「うらぐち」、「ち」の縦棒中央部分が真っ直ぐではありません。変体仮名「知」(ち)でしょうか。

「かへ里き多利」、この頁では変体仮名「利」(り)がよく使われています。

「サン\゛/耳」、カタカナで記していますが、何か意味がありそう。「に」は変体仮名「耳」「尓」が混在しています。

「いひ徒多お支し尓」、このように読んでみたものの、こんな言葉があるのかどうか、読み間違いの可能性大であります。

 

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