2020年7月28日火曜日

的中地本問屋 その45




P.16



P.16 上段

(読み)
やうゝ ひ起
ようようひき

春゛つてくると
ず ってくると

あと可らいや
あとからいや

まづこつちの
まずこっちの

本うへさ起へ
ほうへさきへ

きてく多゛セへと
きてくだ せえと

志きり尓ひつ
しきりにひっ

者゜るあつち
ぱ るあっち

こつちと一尓ち
こっちといちにち

ひつ者゜り多゛こ尓
ひっぱ りだ こに

こまり者てる
こまりはてる

くらひ尓て
くらいにて

志こミどんと
しこみどんと

志こんである
しこんである

ゆへあし可ぎり
ゆえあしかぎり

こん可ぎり尓
こんかぎりに

ゑどち うへ
えどじゅうへ

おろして
おろして

まハる
まわる


(大意)
なんとか引きずってくると、後ろの方から
いや、まずこっちの方へ先に来てくだせえと
しきりに引っ張られる。
あっちこっちと一日中引っ張りだこで困り果てる
くらいだったが、仕込みはどんと仕込んであるので、
脚のつづく限り、根のつづく限りに
江戸中へ卸してまわった。


(補足)
「ひつ者゜る」「ひつ者゜り」、半濁点「゜」がはっきりついて「ぱ」です。
大きな看板の左側に書いてあるのは、変体仮名を知らないと読むのは無理です。
変体仮名そのままだと「春川本゜ん」となって「すっぽん」です。「゜」がくっきりはっきりの◯。

「あつちこつちと」、今でもそのまま使っている「あっちこっち」。
「一尓ち」、「一」が漢数字の「一」と読めるのにしばらくかかった。
「ひつ者゜り多゛こ」、いつ頃から使われているかはしらないけれど、現在でも日常的に使われてます。

「あし可ぎりこん可ぎり」、「こん」と読むのに悩みました。でも「可ぎり」があるので、「脚の続く限り」ときたら「根」しかありませんので、「こ」とわかった次第。まだまだ初心者です。


大看板の右側は簡単。「江戸前」「大蒲焼」、次はちょっとなやむけど「附めし」。わざわざ看板に書いてことわるのだから、他店では蒲焼を注文するとお皿に蒲焼だけが出されたということでしょう。

大看板の輪郭は、定規を使って正確に丁寧に描いてます。
その左側のすだれは、定規を使ってるようですけど、流して自然な線にしています。
定規を使うにしてもちゃんと線を描き分けています。



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