2020年7月13日月曜日

的中地本問屋 その30




P.10



P.10 下段

(読み)
と可く
とかく

さうしの
そうしの

者んてう
はんちょう

尓ハこう
にはこう

いふところ
いうところ

可゛ゼひ
が ぜひ

あるもの
あるもの

多゛



「ひやうし可けと
 ひょうしかけと

いふやつ可゛ゼん
いうやつが ぜん

てへ遍らを
てえへらを

つ可うやつ多゛
つかうやつだ

可らむつ可
からむつか

しい
しい



(大意)
(あれやこれや思案しても)いずれにしても、
草紙の版丁にはこういった(部分の工程が)
必ずあるもんだからな

「表紙がけという工程は
もともとヘラを使うやつだから
難しい


(補足)
 1丁は右左1頁ずつ木版摺りした和紙を2つに折った一枚のこと。5枚(5丁)綴じ10頁分で1冊としました。草双紙だけでなく豆本でも同様です。

「者んてう」が「半丁」なのか「版丁」なのか悩みますが、ここでは製本作業の意味で「版丁」としました。

「ゼひ」、「是非」ですが、必ず、絶対に、きっとの意。

「ゼんてへ」、「ぜんたい(全体)」。元来、もともと。平仮名「せ」はカタカナ「セ」がほとんどです。変体仮名では「世」でしょうけど、「み」が「ミ」なのと同様で不思議です。

「遍ら」(へら)、「へ」の変体仮名「遍」。すぐ上の「へ」とかぶってしまうので「遍」としたのでしょう。

 ヘラを道具として使う作業や工程は職人仕事のなかでは随所にみられます。
竹へらであったり、使う職人が工夫してそれぞれの作業にあったヘラを使ってました。

さて、思案に暮れる村田屋主人どうするか・・・




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