2020年7月25日土曜日

的中地本問屋 その42




P.15



P.15 上段前半

(読み)
さうしうり多゛しの日ハ
そうしうりだ しのひは

セりのてやい尓
せりのてあいに

い多゛てんさ満のまもり
いだ てんさまのまもり

をも多セてい多゛し个る尓
をもたせていだ しけるに

さく可゛ことの外 よく
さくが ことのほかよく

で起个るゆへうれる
できけるゆえうれる

本ど尓 ゝ      志よつて
ほどに(うれるほどに)しょって

でるとうつてゝ
でるとうってうって

まい日 尓ハいく
まいにちにはいく

どゝ奈く可へつてハ
どとなくかえっては

志よい多゛しゝ
しょいだ ししょいだし


(大意)
草紙売出しの日は
(草紙をしょってる)売り子たちに
韋駄天様のお守りをもたせて
送り出した。
草紙の作がことの外良い出来であったので
売れれば売れるほど(戻って)背負って出た。
売って売って、毎日幾度となく帰っては背負いだし


(補足)
 草紙が出来上がり部数もそろえて、いよいよ発売日です。
◯に村の字の屋号が入った、背負子には山のように草紙が積まれています。
実際、本屋さんはこのような箱に本を入れてそれぞれの卸やお店、個人宅へ販売していたようです。

文章は連綿と区切りなく、「〜し个る尓」や「〜尓」でひたすら息切れせずつないでいきます。


「セりのてやい」、「競り」(せり)。「競りにかける」「競りに出す」。売ること。「てやい」は連中、仲間。

「韋駄天」、御存知走りの神様、とてつもなく速い。天ぷら屋で注文したお馬鹿さんがいたそうな。

 草紙の売出しは新年正月と決まっていました。
正月の楽しみの一つであったことは確かです。


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