P.15
P.15 上段前半
(読み)
さうしうり多゛しの日ハ
そうしうりだ しのひは
セりのてやい尓
せりのてあいに
い多゛てんさ満のまもり
いだ てんさまのまもり
をも多セてい多゛し个る尓
をもたせていだ しけるに
さく可゛ことの外 よく
さくが ことのほかよく
で起个るゆへうれる
できけるゆえうれる
本ど尓 ゝ 志よつて
ほどに(うれるほどに)しょって
でるとうつてゝ
でるとうってうって
まい日 尓ハいく
まいにちにはいく
どゝ奈く可へつてハ
どとなくかえっては
志よい多゛しゝ
しょいだ ししょいだし
(大意)
草紙売出しの日は
(草紙をしょってる)売り子たちに
韋駄天様のお守りをもたせて
送り出した。
草紙の作がことの外良い出来であったので
売れれば売れるほど(戻って)背負って出た。
売って売って、毎日幾度となく帰っては背負いだし
(補足)
草紙が出来上がり部数もそろえて、いよいよ発売日です。
◯に村の字の屋号が入った、背負子には山のように草紙が積まれています。
実際、本屋さんはこのような箱に本を入れてそれぞれの卸やお店、個人宅へ販売していたようです。
文章は連綿と区切りなく、「〜し个る尓」や「〜尓」でひたすら息切れせずつないでいきます。
「セりのてやい」、「競り」(せり)。「競りにかける」「競りに出す」。売ること。「てやい」は連中、仲間。
「韋駄天」、御存知走りの神様、とてつもなく速い。天ぷら屋で注文したお馬鹿さんがいたそうな。
草紙の売出しは新年正月と決まっていました。
正月の楽しみの一つであったことは確かです。
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